「絶望的だった」手越祐也『イッテQ』復帰の裏にあった「苦渋の決断」と解けた“呪縛”
『ジャニーズ』の“呪縛”
ところが、事務所を退所してしまったことで、彼の番組復帰は一時、絶望的となった。というのも、番組との出演契約は個人事務所でもない限り、タレント自身とではなく所属事務所と結ばれる場合がほとんどだからだ。 「言うまでもなく、当時の所属事務所は旧ジャニーズ事務所。番組は事務所と出演契約を結んでいましたから、事務所が活動自粛を申し入れたら、それに従うしかありません。その後、本人が事務所を辞めてしまったので、局と事務所との契約は切れました。それなら、改めて個人と契約をし直せばいい……と思われがちですが、実際はそう簡単にはいきません」(同・日テレ関係者) かつて、タレントが大手の事務所を退所した場合、それが円満退所であったとしても、一定期間は活動を休止しなければならない、という芸能界の悪しき慣習があった。 「事務所と揉める形で辞めていたら、力のある事務所に移籍でもしない限り、活動を続行するのは難しかった。2019年、旧ジャニーズ事務所が公正取引委員会から注意されたとき以降、芸能事務所があからさまにテレビ局などに圧力をかけたりすることはなくなっていますが、テレビ局が忖度することは完全にはなくなっていません」(キー局社員) 旧ジャニーズ事務所がかつての体制のままで残っていたら、『イッテQ』が手越と直接の出演契約を交わすことはできなかっただろうという。 ところが、一連の騒動で同事務所は体制を一新し、忖度の必要もなくなった。おりしも10月16日、NHKは現在『STARTO ENTERTAINMENT』社に所属するタレントの番組への新規起用を再開する方針を発表した。これですべての主要テレビ局が“解禁”となり、『ジャニーズ』の“呪縛”は完全に解けたと言っていいだろう。 しかし、今年の8月30日時点で被害補償対象者の94%に賠償金が支払われたとはいえ、まだ保証が完了してはおらず、『ジャニーズ問題』がすべて解決したわけではない。そして、たとえ金銭面での解決を迎えたとしても、日本の芸能界はこの騒動を決して忘れてはいけないだろう――。
佐々木博之