ビートルズの2曲、ジョン・レノンさんの歌声をAIで鮮明にし再制作の構想
英ロックバンド、ビートルズのジョン・レノンさんが生前残した歌声を元に1990年代に制作された「フリー・アズ・ア・バード」「リアル・ラヴ」の2曲を、人工知能(AI)技術を用いてレノンさんの歌声をより鮮明にして再制作する構想があることがわかった。ジョージ・ハリスンさんの息子、ダーニ・ハリスンさんが読売新聞の取材に明らかにした。
レノンさんは80年に銃撃されて死亡したが、生前、自宅でピアノなどを弾き語りして録音した音源を妻のオノ・ヨーコさんから受け取ったビートルズの3人が、歌や演奏を重ねてこの2曲を新曲として完成させた。
この時、合わせてヨーコさんから提供された「ナウ・アンド・ゼン」も制作に着手していたが、歌声とピアノの音を分離できず断念。ハリスンさんも2001年に死去した。
その後、AI技術の進化によりレノンさんの歌声だけを取り出すことに成功。ポール・マッカートニーさんがベースやピアノ、リンゴ・スターさんがドラムスを重ねて録音し、ハリスンさんが1990年代に録音したギターの音などを使って昨年、「最後の新曲」として発表した。
一方、「フリー・アズ・ア・バード」と「リアル・ラヴ」は90年代の最先端の技術で制作されたものの、レノンさんの歌声がひずんで聞こえたり、楽器とみられる音が完全に分離できず一部残ったりしていた。
ダーニさんは、「この2曲も『ナウ・アンド・ゼン』と同じ技法を使ってリミックス(再構築)したい」と語り、「ついこの間、(AI技術で)ボーカルとピアノを分離した『フリー・アズ・ア・バード』を聴いた。(レノンさんの息子の)ショーンも聴いた。(以前と)全く違うもので、驚いた」と語った。