現役自衛官が、闇バイトで強盗犯になるまで「クリスマスに遊ぶマネーがほしいです」
「うちにはなんにも、なんにもありません。」と語る実行犯の祖父
――中桐海知さんの取材で伺いました。海知さんはこちらの出身ではないですか。 「うん、うん。あんたら、何十人ってタクシーで来て、それでかき回してもうて、どの家も、この家も迷惑をかけて。この組(自治会)ではもう、あるもん、なんにもない」 ――たくさんのマスコミが訪れた? 「あんたら、お金儲けで(取材を)やっとるやっちゃさかい。うちの親戚もみんな弱って、みんな(メディアスクラムで)やられてしもうて。うちにはなんにも、なんにもありません。お宅が(取材で情報を)取りに来てもうても、なんにもなりませんね。お金儲けになるもん、とられるもん、なんにもない。あるのは私の命だけや。さかいに、もうお話をすることはありません」 命以外、すべて奪われるかのような苛烈な取材合戦が繰り広げられ、そのことで家族の心は深く傷つけられたという。それは、中桐とその家族が味わうことになった強盗事件のもうひとつの断面だったと言える。
「親が仕事をクビになり、兄の結婚が“なし”になりました。」
中桐本人も、安易に手を出した闇バイトによって、家族に大きな犠牲を強いたという思いはあったようだ。前述の裁判における被告人質問で、中桐は次のように語っている。 「(ミツハシに)免許証の写真を取られていたので、『実家住所がわかる』と言われ、怖いと思った。めちゃくちゃ後悔した」 「犯行後、親が仕事をクビになり、兄の結婚が〝なし〟になりました。自分勝手な行動で責任を感じています」(TBS系 NEWS DIG 2023年8月2日放送) 軽い気持ちで無防備に闇バイトに手を染めた代償はあまりに大きかった――。 <取材・文/週刊SPA!編集部 特殊詐欺取材班>
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