「大雨に備える」“関東最大級”宮ヶ瀬ダム 杉野アナ・佐藤アナ・市來アナが取材
迷路のようなダム内部に潜入
杉野「ダム内部にも入ることができました! 年間を通して15℃ほどという堤体内、自然の冷蔵庫で、実際に酒の貯蔵にも活用されているそうです。ひんやり心地よく感じましたが、二人はどうでしたか?」 市來「約2キロにもおよぶ『監査廊』と呼ばれる通路が張り巡らされていて、とても長い階段もあり、迷路のようでした! 職員の方々はこの通路を使って、日々点検・安全管理を行っているそうです。ダム内部にある『洪水吐』のゲートやダムのひずみを測定する機器などを見学できました」 佐藤「印象に残ったのは下流の生態系を守るための『選択取水』という設備です。ダム湖の水温は上部と下部で異なるため、川にいるお魚たちがびっくりしないように、下流に適温の水を流す工夫をしているそうです。また、水の濁度も判別して、きれいな水を流すこともできるそうです」
大雨から街を守る“ダムの対策”、私たちができること
ダムは大雨時、流れてくる水のうち一定量をためて、下流に流す量を減らす「洪水調節(防災操作)」をおこないます。 しかし、地球温暖化の影響で、戦後多くのダムが建設された当時は想定されていなかったような大雨が降るようになりました。 そのため近年、ダムの容量がいっぱいになることがあり、入ってくる水の量と同じ量を下流に流す「緊急放流(異常洪水時防災操作)」が実施される頻度も増えています。 杉野「2019年、台風19号が関東を直撃した際には多くの川が氾濫したのですが、この宮ヶ瀬ダムは4300万立方メートルもの水をためて、下流の水位上昇を抑えて、氾濫リスクを下げ、緊急放流にも至りませんでした」 市來「もしダムが緊急放流をすると下流の河川水位は上昇するため、私たちアナウンサーはダムが緊急放流する前に、視聴者の皆さんに身の安全確保をしてもらう呼びかけを心がけています」
取材後記
大雨災害への備えとして、まず雨が降る前にお住まいの地域のハザードマップを見ておくことが大切です。 そして、雨が降り始めたら、国土交通省の「川の防災情報」や気象庁の「キキクル」で身近にある川やダムの状況、土砂災害の危険度をチェックしてください。 今後の避難行動の指針にすることができます。 佐藤「私たちが見学に行った日には、小学生の社会科見学も行われていました。『防災を学ぶ』というと堅く感じてしまいますが、観光放流などを通して、ダムをより身近に感じられますよね。ダムの働きや大雨に備えることを知る良いきっかけだと感じました」 杉野「今回の取材で、ダムが私達の暮らしを守っている事や、そのダムが正常に機能するよう常日頃保守点検をしている職員の方々の熱意を感じました。一方で、そのダムを作るために、人々が暮らした村が湖底に沈むことになった事、また自然環境に影響が出るため、その水質や周囲の生態系に引き続き気を配り続けている事も知り、こうした事も忘れてはいけないと胸に刻みました」 市來「“雨が降っていないから大丈夫”ではなくて、雨が降っていない時に、今のうちに『川の防災情報』・『キキクル』を開いて操作し、使い方に慣れておけば、ご自身と大切な方の命を守ることに繋がります。使い慣れていないお年寄りの方と離れていてもご家族が調べて教えてあげることもできますので、是非活用して下さい」
********************************************* ちなみにダム見学のおすすめは「ダムカレー」! ダムの中にはご当地グルメのように、それぞれの特徴をあらわしたカレーがあります。カレールーの流れ方や、ダムをかたどるお米の形も違うそうです。是非お近くのダムカレーを召し上がって下さい! (取材・文 日本テレビアナウンサー杉野真実・佐藤梨那・市來玲奈 監修:矢島学)