実験的規格のERC-404、最初のトークンが1週間で1万2000%急騰
非公式かつ実験的な新しいイーサリアム規格に基づく最初のトークンによって、暗号市場に数百万の新しいサブ資産クラスが生み出された。 いわゆる「ERC-404」トークンの先駆けであるパンドラ(Pandora)は、1週間弱で250ドルの安値から9日午前には3万2000ドル(約480万円、1ドル150円換算)まで上昇した。パンドラの供給量はわずか8000枚で、過去24時間で約7600万ドル(約114億円)の取引高があった。 いくつかのプロジェクトはすでにブームに便乗し、独自のERC-404トークンを発行している。 こうしたトークンの中には、供給量のうち少量をパンドラ保有者にエアドロップして、トークンの需要を高めると同時に独自のプロジェクトの知名度を高めているものもある。アービトラム(Arbitrum)やソラナ(Solana)など全く異なるエコシステムで先駆者になろうとして他のブロックチェーンで発行されたものもある。 大手暗号資産(仮想通貨)取引所OKXとバイナンス(Binance)は、自社のWeb3ウォレットがERC-404トークンに対応したと発表。これもこの規格の正当性を高めることになり、知名度が向上した。
ERC-404とは?
ERC-404は、イーサリアムブロックチェーンでそれぞれトークン発行規格、NFT発行規格として人気のあるERC-20とNFTのERC-721を1つに組み合わせたものだ。これにより、開発者が公開市場で自由に取引して使用できる細分化されたNFTコレクションを作成できるようになる。 現在の形式ではNFTは1対1の資産として存在し、所有者が全体の一部を購入できるトークンとは異なる。 細分化されたNFTは存在するが、通常は事業体がそうしたNFTを1つのウォレットにロックし、そのNFTを表すトークンを発行する形になる。この形での細分化されたトークンは自由に取引されるため、ロックされたNFTの価値と正確に一致しない可能性がある。 これは、ERC-404が解決しようとしている重要な問題の1つだ。これにより、複数のウォレットが単一のNFTを直接所有できるようになり、将来的には、特定のエクスポージャーをトークン化し、ローンやステーキングに使用するユースケースを作成できる。 パンドラとERC-404の開発者の1人であるctrl氏は、「暗号資産業界の人々は摩擦を嫌う」とテレグラムメッセージでCoinDeskに語った。 ctrl氏は、「ERC-404以前のソリューションはどれも摩擦が大きすぎ、通常は細分化または流動性を持たせたい元のNFTを抽象化したラッピングソリューションだった」と指摘。「コレクターはこれを嫌っており、普及が大幅に制限された。ERC-404にはこれらの機能がデフォルトで備わっており、わかりにくいサードパーティのプロトコルやソリューションに依存しない」と説明した。 ERC-404の開発者らはGitHubのページで、ERC-404が結合する2つの規格は「混合するように設計されていない」ものの、プロジェクトは「トレードオフを最小限に抑えながら、可能な限り堅牢な方法で混合するよう努めている」と述べている。 開発者の0xacmeはGithubで、「この規格は完全に実験的で監査を受けていないが、執行が可能な限り正確であることを保証するためにテストが実施されている」とする一方で、「しかし、規格が重複しているという性質から、統合するプロトコルがその混合された機能を完全には理解していないことが示唆されている」と述べた。