大谷翔平、ドジャースでの10年の初年度で世界一 前代未聞のスキャンダルに揺れ、50-50も偉業も達成した“充実の1年”
大谷翔平が悲願だった“世界の頂”に立った。 現地時間10月30日に敵地で行われたヤンキースとのワールドシリーズ第5戦でドジャースは7-6と逆転勝ちを飾り、4年ぶり8度目のワールドシリーズ制覇を達成。「1番・DH」で先発した大谷は第2戦で負った左肩を亜脱臼の影響もあって4打数ノーヒットに終わったものの、2018年のメジャー挑戦から求めてきた世界一となった。 【動画】ヤンキースファンが暴挙!ベッツ捕球のボールを奪い取ろうと… さまざまな困難に立ち向かい、浮き沈みもあった1年を結果として最高の形で締めくくった。 昨年12月に97%の後払いを含んだ10年総額7億ドル(約1015億円=当時のレート)の超巨額契約を締結した大谷。開幕を前に注目を集めていた偉才だったが、突然スキャンダルに見舞われた。3月に日本ハム時代からいわば友人関係にもあった専属通訳の水原一平氏による違法賭博への関与、さらに大谷の給与口座から1600万ドル(約24億5000万円)以上の金額を不正に盗用していたと判明したのだ。 このスキャンダルによって米メディアから大谷にも“疑惑の目”は向けられた。だが、そんな苦境にあって彼を守ったのはドジャースの仲間だった。チームの精神的支柱でもあるクレイトン・カーショウは、米スポーツ専門局『Sports Net LA』で「たしかにあの問題や報道の喧騒で環境は変わった。でも、ショウヘイは上手く適応しようとしている。それに彼自身に罪はない」と断言。彼以外にも淡々と野球に取り組もうとするニューカマーを慮る同僚たちは少なくなかった。 本人いわく「良い選手でもあり、良い人たちでもあり、本当にまとまった素晴らしいチーム」という仲間たちの支えもあり、精神的な落ち着きを取り戻した大谷はグラウンド上で異彩を放った。前年に負った右肘側副靭帯の損傷により打者専念となったレギュラーシーズンでは、史上初となる「シーズン54本塁打・59盗塁」の偉業を達成。さらにキャリア2度目となるメジャーリーグでの本塁打王にも輝いた。 そして、かねてから「もっともっと楽しいというか、ヒリヒリする9月を過ごしたい」と待ち望んだポストシーズンでは、個人として打率.230、3本塁打、OPS.766と精彩を欠いた。それでも「ショウヘイと勝ちたいんだ」(ムーキー・ベッツ談)というチームの中心に背番号17は間違いなく存在した。 ドジャースでの10年の1年目で「世界一」を経験した大谷だが、投手としての復帰が待ち望まれる来季には「二刀流」としての活躍が期待される。偉才の真価が問われるのはまだまだこれから。その一挙手一投足への興味は尽きない。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]