子どもの命より利便性? スクールゾーンの交通制限解除を求める町内会に、保護者やPTAはどう向き合うか
◆学校でも保護者でもない「第三者」が現れたとき
学校の近隣に住む人にとって、道路の通行制限は不便なものでしょう。それでもやはり、子どもたちの安全のために、解除反対の声をあげることは、保護者の役割だと思います。互いに主張しあって、折り合える点を探す必要があるのではないでしょうか。 こういったとき、保護者ネットワークや保護者団体の存在は、やはりないよりあった方がいいと感じます。個人で声をあげるのも大事なことですが、今回のように相手が「町内会」という団体の場合、保護者も個人より団体になっていないと、言い分が十分に届かないかもしれません。 筆者は以前、通学路で子どもたちが亡くなる事故が起きた小学校のPTA会長に話を聞いたことがあります。その道路も以前からよく事故が起きていたのに、それでもやはり「不便だから」と制限に反対する住民はいたといいます。 今回のケースでも、もし保護者団体が何もなかったら、もう何年も前に制限は解除されていた可能性もあるのでは。 これまでのPTAでよく見られたように「必要な活動をしているんだから全員入るべき」という強制につながってしまうと困るのですが、それでもやはり、「子どもの権利を保護する者=保護者」の団体があった方がいい場面は考えられます。 昨今はPTAの解散も増えていますが、校区(近隣の町内会)によっては、なんらかの保護者組織の立ち上げを検討するのもいいのではないでしょうか。 この記事の執筆者:大塚 玲子 プロフィール ノンフィクションライター。主なテーマは「PTAなど保護者と学校の関係」と「いろんな形の家族」。著書は『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた』『さよなら、理不尽PTA!』『ルポ 定形外家族』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』ほか。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。
大塚 玲子