DXに伴う課題、増えすぎたアプリとシャドウIT問題の深刻化。インテル出身の起業家が目指すCIOの負担軽減
インテルの元最高インキュベーション責任者が立ち上げたスタートアップ
AIを活用してこの問題に取り組んでいる米カリフォルニアのスタートアップAsatoが投資家の関心を集めている。 Asatoは2023年12月5日、シードラウンドで750万ドルを調達したことを発表した。同ラウンドでは投資家からの申し込みが当初予定を上回り、予定を超える資金獲得につながったという。 同社のどのような点が注目されているのか。 Asatoが提供するのは、最高情報責任者を対象としたIT管理プラットフォーム。Asatoの共同創業者でCEOを務めるサンダリ・ミトラ氏が以前立ち上げたスタートアップNetSpeed Systemsで開発されたナレッジグラフの技術と生成AI技術が活用されている。同社は2018年にインテルに買収された。公式な買収額は明らかにされていないが、NetSpeed Systemsは当時6,000万ドルの評価額だった。 ミトラ氏はVenturebeatの取材で、Asatoプラットフォームの活用例を説明している。 Asatoプラットフォームは、CIOが「今期、どのアプリケーションを更新する予定になっているのか」など自然言語による質問を投げかけると、プラットフォームが企業内で利用されているアプリケーションとそれに付随するライセンスなどの関連情報を分析し、インサイトを提供する仕組みとなっている。 たとえば上記質問の回答として、「今期は5つのアプリケーション更新が予定されている。その1つでは1,000人分のライセンスを購入しているが、過去90日間で実際に利用していたのは500人のみ」などの情報を提示することが可能という。また「最近200万ドルで購入したアプリケーションがあるが、1年間で利用された日数は10日のみだった」など、企業内のアプリケーション利用状況とコスト情報を示すこともできる。 プラットフォームの能力に加え、創業メンバーが確固たる知識と経験を有していることも投資家の注目点となったようだ。特にミトラ氏はテクノロジー大手における経歴に加え、Asatoを含め3社のスタートアップを立ち上げた経験を持っており、投資家から高い信頼を得ている。 ミトラ氏は1988年にデザインエンジニアとしてインテルに入社。その後1992年にサンマイクロシステムズに転職し、ハードウェアディレクターとして12年間務めている。2006年に1社目となるスタートアップPrism Circuitsを創業。半導体のインターコネクト技術に特化した企業だ。2009年まで同スタートアップのCEOを務めた後、2011年にはシリコンバレーの半導体デザイン企業MoSysに参画し、2011年までエンジニアリング部門の責任者を務めた。 2011年に上記でも触れたNetSpeed Systemsを立ち上げ、2018年にインテルに売却。その後インテルのIPエンジニアリング部門のゼネラルマネジャー、そして最高インキュベーション責任者を経て、2023年5月のAsato創業に至る。