いじめ 学校外から対策 湖西市実証事業 相談アプリなど導入へ
湖西市は2024年度、小中学校で発生したいじめに対応する市長部局への相談窓口の設置に加え、新たにチャット相談アプリや健康観察ツールの導入など、学校外の多方面からいじめの防止や早期解決を図る実証事業に取り組む。こども家庭庁から実証事業の採択を受け、19日の市議会6月定例会で可決された24年度一般会計補正予算に1558万円を盛り込んだ。市は9月ごろをめどに、いじめ対策条例の制定も目指す。 19年度に市立中で起きたいじめの重大事態を巡り、23年度に第三者調査委員会が学校や市教委の不適切な対応を指摘したことを受け、予防啓発と早期発見、相談介入の視点で学校外からの支援体制を構築する。 市長部局の相談窓口は、こども政策課内に新設したいじめ防止対策準備室に、子ども支援などの経験がある相談員2人を会計年度任用職員として配置する。相談員はいじめ対応の講習を受け、対面や電話、メールで保護者や子どもからの相談に応じる。 健康観察ツールは小中学生に無償貸与された「1人1台端末」に導入し、子どもたちが毎朝体調を入力することで心身の不調を把握するほか、児童生徒が相談の希望を直接申請できるようにする仕組み。チャット相談アプリは小4~中3を対象に、1人1台端末や家庭の端末で接続できるアカウントを付与して匿名の相談を受け付ける。 予防啓発の一環で養成する地域いじめ防止リーダーは、スポーツクラブの指導者など子どもに関わる地域の人材にいじめの定義や相談窓口を知ってもらい、学校外での声かけや見守りにつなげる内容。いずれも10月以降に順次開始し、年度末まで効果を検証する。 19日の市議会6月定例会本会議で市こども未来部の鈴木祥浩部長は「市教委や学校との連携が非常に重要。子どもたちをいじめから守るため、情報共有を密にしたい」と強調した。
静岡新聞社