本格移民期の実態は 満蒙開拓平和記念館で特別展開催中【長野県阿智村】
長野県阿智村の満蒙開拓平和記念館は8日まで、旧満州(中国東北部)への開拓団入植の歴史をたどる特別展「開拓団入植地の変遷」を開いている。時代ごと計3回にわたって歴史をひもとく展示の第2弾で、移民送出が本格化した1937年から41年までに注目。「本格移民期~未利用地主義は守られたか」と題し、満蒙開拓の実相を探っている。 同館によると、この時期には満蒙開拓政策が国策となり、分村・分郷移民や青少年義勇軍など移民送出が本格化。現地住民との摩擦を避けるため、未開墾の土地に入植する「未利用主義」を方針としていたが、実態としては現地住民の生活の場があった「既墾地」も大量に取得されていたという。 展示解説では、入植農家が急増する中、「100万戸移住」を目指して急ピッチで土地の買収が行われ、未墾地と既墾地の区別なく買い上げられる事例が相次いだと指摘。中国人の反日感情が再燃し、日中戦争の開戦と合わせて「日本の侵略的印象が強まってきた」とした。 また、抗日勢力対策として「現地住民の強制移住があった」と紹介。ゲリラ戦を仕掛けてくる抗日勢力と現地住民の関係を断ち切り、弱体化を図ろうと、満州各地に点在する村々から住民を強制移住させ、移民を入植させたという。 三沢亜紀事務局長は「飯田下伊那からもこの時期に最も多く開拓団が送り出された。現地の人との共存を掲げていたものの、実際はかなり強引に、必要以上の土地の取得を進めていた」と指摘。「ソ連侵攻後、残された開拓団員が現地住民による報復を受けて多くの犠牲を出すことにつながっていく」と話した。 特別展の第3弾「移民崩壊期(42~45年)」は来年3月ごろに開催する。 開館は午前9時半~午後4時半で、毎週火曜日と第2、4水曜日は休館日。入館料は一般600円、小中高校生300円。問い合わせは同館(電話0265・43・5580)へ。