「普通のポルシェ」じゃ満足できないって人に! 旧型の「911」を最新技術と独自センスで“レストモッド”する話題のシンガー社が待望の本格上陸
“歌手”がカリフォルニアで立ち上げたシンガー社
964型ポルシェ「911」のハードウェアをアップデートし、内外装をレトロかつ洗練させた独特の世界観に仕上げる“レストモッド”をおこなうシンガー社が、日本に本格上陸を果たしました。 【画像】これが世界のVIPたちが熱い視線を注ぐスペシャルなポルシェ「911」です(17枚)
シンガー社、正式名称シンガー・ヴィークル・デザイン(以下、SVD)社は、その名のとおり“歌手”と深い関係にあります。 SVDを立ち上げたのは、イギリスのロックバンドであるキャサリン・ホイールのメインボーカリスト兼ギタリスト、ロブ・ディキンソン。2009年にアメリカ・カリフォルニア州に設立しました。元は自分が乗りたいポルシェをつくっていたらあまりにも周囲からの評判がよく、事業化するに至ったというサクセスストーリーです。 ロブ・ディキンソン自身が歌手(Singer)だったこと、そして、耐久レースにおけるポルシェの黄金時代の立役者的存在であったエンジニア、ノルベルト・ジンガー(Norbert Singer)へのリスペクトから、社名をシンガーにしたそうです。 そんなSVDの日本におけるパートナーとして、新たに高級輸入車の正規販売店を展開するコーンズ・モータースが就任したことが先ごろ発表されました。日本の顧客向けにSVDへのレストア依頼をサポートするとともに、日本における専門的なサービスやメンテナンスも提供していくそうです。 ●コーンズが日本からの依頼やアフターサービスをサポート レストアのベースとして顧客が用意した車両は、レストアのベース車両としての適性を知るべくSVD指定の寸法確認を実施。レストア内容に応じて、アメリカもしくはイギリスに送られます。 ベース車で重要なのはフレームの“骨格”で、モデルは関係ないのだとか。顧客の要望があれば4WD車の提供もおこなうそうですが、基本は「カレラ4」でもレストアの過程で後輪駆動に仕上げられます。 ベース車はSVDの工房で徹底的に分解・補修され、フレームとエンジンブロック以外は全く新しいクルマへと生まれ変わります。 SVDによる“再構築”をおこなうというのがキャッチフレーズで、必要であればコーンズ・モータースが顧客ためのベース車両探しをサポートしてくれるといいます。 発表会には、創業者/会長/クリエイティブディレクターのロブ・ディキンソン氏、そしてCEO(最高経営責任者)のマゼン・ファワズ氏が出席しました。 両者とも、日本のあらゆる場面で遭遇する細部に至るまでのこだわりに感心し、SVDのモットーと相通じるものがあると話します。そんな細部へのこだわり、そして日本への取り組みの本気度を感じさせるのは、SVDのオフィシャルホームページに流行りの自動翻訳ではなく、きちんとした日本語ページが新たに用意されたことかもしれません。 発表会でお披露目されたのは、499台限定の「ターボ・スタディ」と99台限定の「DLSターボ」と呼ばれる、ふたつのレストアメニューが施されたモデル。 前者は930型の雰囲気に仕上げられており、最高出力は510psを誇ります。ABS、トラクションコントロール、スタビリティコントロールといった現代のデバイスを装備しながら、ノスタルジックな雰囲気はファンを虜にすることでしょう。 後者はポルシェのIMSAに参戦していたグループ4マシン「934/5」を再想像(Reimagine)したもの。最高出力750psと聞くと獰猛ぶりを予感させますが、ロブ・ディキンソン氏いわく「不思議なほど乗りやすいモデル」だそうです。 気になる価格は、顧客が用意するベース車を除いたレストア費用が「ターボ・スタディ」で83万5000ドル(約1億2988万円)<展示車両はカスタマイズ費を含めて110万ドル(約1億7209万円)>、「DLSターボ」は270万ドル(約4億2996万円)<同310万ドル(約4億8217万円)>とお高め。それでも世界のVIPからは引く手あまたのようです。
古賀貴司(自動車王国)