「石川の酒を世界へ」ユネスコ無形文化遺産登録 能登の焼酎メーカー励みに
テレビ金沢NEWS
ユネスコの無形文化遺産に日本の「伝統的酒造り」が登録される見通しとなりました。 元日の地震で被災した石川県内唯一の焼酎メーカーの今を取材しました。
「日本醗酵化成」 能登の水を使い、能登杜氏仕込みの製法で1947年から本格焼酎を作り続けてきた県内で唯一、焼酎だけの酒造会社です。珠洲市にある酒蔵は元日の地震で大きな被害を受けました。 日本醗酵化成・藤野 浩史 社長: 「仕込みの時に使う麦焼酎なので、麦を蒸す機械ですね。これが普通3台並んでたんですけど、地震でこれが前に倒れたという感じですね。いま仕込み自体は本当言うともう全くできない状態です」
約200本の貯蔵タンクもほとんどが傾き、焼酎を取り出せなくなりました。 日本醗酵化成・藤野 浩史 社長: 「頑張ろうっていうよりも、正直なんか終わったなっていうような気持ちの方が大きかったですね」 そんな中、再建に向けて背中を押したのは、様々な人からの励ましの言葉でした。
日本醗酵化成・藤野 裕子 さん: 「地震後にお客様からいただいた手紙なんですけれども、こういうのがすごく励まされて、前を向く切っ掛けの一つになりました」 その後、ボランティアの協力で傾いたタンクを元に戻したり、クラウドファンディングで集めた資金で修繕を実施。地震前に仕込んでいた焼酎がようやく出荷できるようになりました。そうした中、きのう(5日)届いた、うれしいニュース。
焼酎や日本酒などの「伝統的酒造り」について、ユネスコの評価機関が「無形文化遺産に登録することが適当」と勧告を出したのです。 林 芳正 官房長官: 「伝統的酒造りは杜氏や蔵人などの方々が築き上げてまいりました我が国の大切な文化でありまして、今回の勧告は大変喜ばしいことであります」
日本醗酵化成・藤野 浩史 社長: 「やっぱり嬉しいですし、励みにはなりますね。今は製造は出来ないですけど、もし出来るようになれば、県外もしくは海外にも販路が広がればなと思っています。世界にも認められるようなお酒になればいいなと思います」
ユネスコの文化遺産登録とともに石川の酒を世界へ… 日本醗酵化成では、新酒の仕込みが再開できるその日に向け、一歩ずつ復旧に取り組んでいます。