あの3ツ星シェフが満を持して パリの大舞台に登場「ブルス・ド・コメルス・ピノー・コレクション」
このところパリでは新しいアートスポットや、これまでの施設をバージョンアップしたものが続々と登場している。魅力的なのは、そこにもれなく美味しい店が入っていること。 【画像】「アール・オ・グラン」前菜の一品。ローストした西洋ごぼうを黒オリーブのパウダーでコーティング。発酵乳のソースを添えて。 観る楽しみと味わう幸福。その両方を叶えてくれる、とっておきの場所を5回に渡りご紹介しよう。 今回は少しおしゃれして行きたい“ミュゼ・ドゥ・ニュイ”と素敵レストランをご紹介。オレンジ色の光に染まるパリの夜。大人っぽいムードを醸すナイトミュージアムと、その余韻を優しく包み込んでくれる美食の素敵空間へ。
新しい時代の空気をまとう歴史モニュメント
◆Bourse de Commerce Pinault Collection(ブルス・ド・コメルス・ピノー・コレクション) Halle aux Grains(アール・オー・グラン) 美術や建築に興味のある方ならば、ブルス・ド・コメルスは必見だ。一代で財を成したフランスを代表する大富豪フランソワ・ピノー氏の膨大なアートコレクションを展示する美術館が一体どこにできるのか。 これは20年以上前から話題になっていた。セーヌ川の中洲スガン島での計画が頓挫した後、舞台はイタリア・ヴェニスに。 富豪の夢を建築家・安藤忠雄氏が形にするコラボレーションは成功を見たのだが、本拠地フランスでの実現が待望されていた。それがついに現実となったのが、2021年初夏に開館したブルス・ド・コメルスである。 この場所はかつて商品取引所で、とくに穀物市場としての歴史がある。そもそも円形の建物だったが、1889年、革命100年を記念したパリ万博の際、ガラス屋根やフレスコ画など、さらにモニュメンタルな大改装がなされた。 そんな歴史的建造物を美術館にするにあたり、全幅の信頼を寄せられた安藤氏。円形の建物の内側にコンクリートの円筒を据えるというミニマルかつ大胆な設計で、過去と未来が融合する空間を創出した。 そこに入るレストランも当然注目の的。中央フランスの田園レストランで3ツ星を獲得し一世を風靡したミシェル・ブラス&セバスチャン父子に白羽の矢が立った。 満を持してパリ進出となった「アール・オ・グラン」は“穀物市場”という名の通り、土地の記憶を現代に引き継ぐレストラン。すべての料理で穀物や豆、種子類を駆使するコンセプトで、独自の料理世界を披露する。 Bourse de Commerce Pinault Collection(ブルス・ド・コメルス・ピノー・コレクション) 所在地 2 rue de Viarmes 75001 Paris 電話番号 01 55 04 60 60 開館時間 11:00~19:00(金曜 11:00~21:00) 休館日 火曜、5月1日 入館料 14ユーロ(第1土曜17:00~21:00は入場無料) Halle aux Grains(アール・オー・グラン) 電話番号 01 82 71 71 60 営業時間 12:00~15:00(ランチ)、15:00~18:00(カフェ)、19:30~21:30 L.O.(ディナー) 定休日 火曜ランチ・カフェ
鈴木春恵