鳴き声や臭いで避難所に入れず…能登地震「被災ペットと暮らせる直径5mインスタントハウス」内部写真
石川県能登町の海岸沿いに、10棟ほどの真っ白なテントが並んでいる。直径は5mほど。1月に起きた能登半島地震で被災した人が、ペットと暮らせるインスタントハウスだ。 鳴き声や臭いで避難所に入れず…能登地震「被災ペットと暮らせるインスタントハウス」内部写真 オーナーの大場小都美さんが語る。 「10棟のうち3棟をペットと生活できるスペースにしています。床にマットを敷いて内部を板張りにしているので、猫が爪とぎしても心配ありません。照明やファンヒーターを置き、ペットが過ごしやすい環境にしています」 4月1日で、能登半島地震が発生してから3ヵ月がたった。被災地では様々な問題が未解決のまま。問題の一つが被災ペットの対応だ。鳴き声や臭いをイヤがられ避難所に入れないため、飼い主は車中泊や崩れかけた家での生活を強いられているという。 ◆地震で犬や猫もストレス 大場さんが続ける。 「バイク好きの私が、ライダーのためにカフェや宿舎をオープンさせたのは’16年です。能登半島地震では店内の酒瓶が落ちて割れた程度で、幸い大きな被害はなかった。電気やガスも通じ湧き水も使えたので、被災した人たちにお風呂や洗濯機を無料で提供していました。利用者から聞いたのが、避難所にペットを入れられず仕方なく車中泊をしている人々の話です。 犬や猫も地震が恐かったでしょう。震災によるストレスで身体が衰弱。運動量が減って筋肉が落ちたため、車の中で飼い主と生活していてもブレーキをかけると踏ん張れず座席から落ちてしまうとか。役場にペットと暮らせるような避難所を作ってほしいと要望しましたが、うまくいきませんでした」 大場さんが知人を通じて知り合ったのが、名古屋工業大学の北川啓介教授だ。北川教授は自身が開発したインスタントハウスを被災地の輪島市や珠洲市に提供。大場さんがオーナーを務めるキャンプスペースにも、2月下旬にインスタントハウスが建った。大場さんは改装してペットと生活できるスペースにしたのだ。 「私も猫を飼っていますが、いつも癒やしてくれます。家族と一緒の存在なんです。ペットがいなくなったり離れ離れの生活をせざるをえない被災者の方々の中には、メンタルがキズついた人もいるでしょう。インスタントハウスで、飼い主もペットも元気になってくれたら嬉しいです」(大場さん) 愛猫「もっくん」とインスタントハウスで暮らす、新出よし子さんが話す。 「ここに来るまで2ヵ月以上車中泊でした。『もっくん』は地震後3日間飲まず食わずで、くるまった毛布から出てこず……。そんな話をママ(大場さん)にしたら『ここで暮らしたら』と誘ってもらったんです。おかげで『もっくん』も元気になり、私のストレスもなくなりました」 能登半島の人々は、自分たちの創意工夫で笑顔を取り戻しつつある。 取材・PHOTO:夏目健司
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