弁当と一緒に届ける「お年寄り応援のフリーペーパー」配食業者が作成 趣味や生きがいを紹介
契機となったのがー。 利用者の要望で始めたマッサージ師の派遣です。 松井健さん(90)、芙紗子さん(85)夫婦。 お年寄りに寄り添う中で二人はあることを発見します。 ライフデリ松本店・辻敬さん: 「ここにね、こんな風にあったんですよ、これこれ。絵もあって俳句もあって」 それはさまざまな趣味や楽しみ。健さんは、60歳で定年退職してから30年、俳句を続けてきました。
戦争や平和を願う句―。 松井さんの句: 「反戦の 老婆にうらら 鳩餌付く」 「敗戦忌 爆死餓死なき 米寿かな」 松井健さん(90): 「松本も爆弾が落ちたことがあって、里山辺に、B29が。ものすごい爆音と光にびっくりしてね。私たちの世代の戦争の体験を絶対に戦争があっちゃいけない」 ライフデリ松本店・辻敬さん: 「身にしみますね。生きてこられた方の声っていうのは」
2人はこうした趣味や思いを発信すれば「利用者の励みにもなるのでは」と考え、「えんがわ」の制作に着手。 試しに作った「0号」と、「1号」に健さんの句を載せました。 松井健さん(90): 「最初は恥ずかしいと思いましたけど、高齢者や若い人に元気を与える結果が出ればうれしいです」 妻・芙紗子さん(85): 「ありがたいと思っています。日の目を見るってことがいいんじゃないですかね」
「えんがわ」にはお年寄りの何気ない日常もー。 第1号に掲載した、丸い石を積み重ねた、まるでアート作品のような写真。下田さんが、90歳になる女性の家の庭先で見つけたもので聞けば「亡き夫が集めていた石を並べて楽しんでいる」とのこと。 ライフデリ松本店・下田民子さん: 「なんて粋な楽しみ方だろうと、胸がキュンとしたんです。それぞれの人生が芸術だなって、そういう気持ちがしたんです」
利用者の励みになればと、「えんがわ」には店のシニアスタッフにも登場してもらいました。 田中勉さんは77歳。定年退職後、東京から松本に移住しゆっくりしようと思っていましたが、4年前から店で働き始め、生活に張りが出たと言います。