アルピコHDが東証に上場 「第2の創業」成長さらに 長野県松本市
アルピコホールディングス(HD、長野県松本市井川城2)は25日、東京証券取引所スタンダード市場に上場した。初値は201円で、終値は公開価格と同額の191円。売買高は1261万3900株だった。17年前に旧アルピコグループが実質的な債務超過による私的整理を発表した同日を狙っての悲願達成で、「第2の創業」(佐藤裕一社長)とも位置付けてさらなる成長を目指していく。 アルピコHDは上場に当たり、新規に1100万株を公募し、売り出しも実施。調達資金により、総菜強化型の新ブランドスーパー「デリシアミールズ」の長野市への新規出店に11億円、バス車両18台の取得に総額8億8000万円、ホテルブエナビスタの客室改装に2億円を充てる。 東証で上場セレモニーが開かれ、佐藤社長ら約20人が参加した。環状の電光掲示板・チッカーに「祝上場」の文字と社名が表示される中で上場通知書を受け取り、五穀豊穣(ほうじょう)に由来して木づちで鐘を5回鳴らして喜び合った。 佐藤社長は同日の記者会見で、公開価格と同額だった終値を「初日としては妥当」と評価した。上場を受け「会社が生まれ変わった証左をちょうだいできた安堵(あんど)感がある」と述べ、長い年月をかけて目標を遂げた原動力は「歯をくいしばり苦しい時代を乗り越えてきた社員」と感謝した。 インバウンドなどの需要拡大を背景に、観光路線バスの強化や宿泊施設の高単価路線への転換を図る成長戦略を描く。インフラ産業として地域に質の高いサービスを提供すると同時に、「世界に誇る山岳リゾート地を目指し、地域の事業者とともに信州の付加価値を高めていきたい」と意気込みを語った。
市民タイムス