「理不尽な虐待、厳しい非難が妥当」 母親に懲役12年求刑 青森・八戸市5歳児死亡
青森県八戸市柏崎4丁目の自宅アパートの浴室で、娘=当時(5)=に冷水を浴びせて放置し死亡させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親(22)の裁判員裁判論告求刑公判が28日、青森地裁(藏本匡成裁判長)で開かれた。検察側は「理不尽な虐待と言うほかなく、厳しい非難が妥当」として懲役12年を求刑。弁護側は「被告の役割は従属的」とし、執行猶予を求め結審した。判決は12月10日。 検察側は論告で、母親が交際相手の男の被告(32)=同罪で起訴=による女児への「ぬらしせっかん」を黙認していたのは、「交際相手に別れると言われるのが怖かったから」と指摘。浴槽の中で4時間半も立たされ続けた女児は「頼るほかない母が助けてくれないという絶望の中で亡くなった」とし、「一人の人間に苦痛を与え、死に至らしめた犯行の結果は重大」と非難した。 弁護側は「ぬらしせっかん」を実行したのは交際相手だったと強調。母親は交際相手から暴力を受けていたほか、家族と断絶状態で悩みを周囲に相談できなかったことなどに触れ、「同情する点が多いことを考慮すべき」と訴えた。 閉廷前に最終陳述した母親は「共犯という形だが、自分が娘を死なせてしまったと思っている。娘に謝罪し続け、ちゃんと生きて罪を償っていきたい」と語った。