日銀、次の一手「物価2%+賃金」で政策目標達成を狙うシナリオとは?
今後、労働市場が一段と逼迫していくなかで「時間当たり賃金」が2%を超える蓋然性はそれなりに高いと言えます。実際、失業率が3%以下の領域に突入すると、賃金は加速度的に上昇する傾向が観察されており、この関係が再現されるならば、失業率2%台前半の時に4~5%の賃金上昇率が達成されることになります。 もちろん現状の日本経済に照らし合わせると4~5%の賃金上昇は非現実的と言え、図中の傾向線を大幅に下振れる可能性が濃厚です。しかしながら、それでも図中の(1)の領域まで上昇する可能性は十分にあるでしょう(現在は(2)の領域に位置)。さすがに3%までは距離があるとはいえ、消費者物価の前年比上昇率2%を安定的に持続させるよりはハードルが低く、実現可能性が高い政策目標と言えます。
(第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一) ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。