軽自動車が持つ「日本一人勝ち」潜在能力 クルマ業界2014展望
日本の自動車技術と言えば、多くの人はハイブリッドを思い浮かべるだろう。もちろん日本がハイブリッドにおいて最先進国なのは間違いではない。だが、実は自動車の世界で注目を集めている日本の技術は他にもある。国内では増税で優遇を削がれつつある軽自動車だが、世界市場に打って出ることができれば、日本の一人勝ちが起きてもおかしくない。 【図表】40%台に迫る日本の軽自動車比率
今なぜ軽自動車増税か?
年末のニュースをにぎわした話題のひとつに軽自動車税の値上げ問題があった。まずはそのあらましから見てみよう。現在の軽自動車税は年間7200円。排気量1リットル以下の普通車の税金が2万9500円であることと比較すれば極めて割安だという事がわかる。これが2015年4月販売の新車から1万800円に引き上げられる。
官公庁の用語は一読しただけではわかりにくいが「4月販売の新車から」とは「それ以前に売られたクルマは従来通り7200円でOK」という意味になる。つまり現在市場に出回っている中古車や、来年3月中に購入したクルマなら当面引き上げの対象にならず、毎年7200円しか課税されない。 これを見て、来年4月以降の軽自動車新車販売の好調を予想する人はいないだろう。不思議なのは、日本経済に光が射し始めたこのタイミングで、エコカーと共に自動車産業をけん引している一方の雄、軽自動車の税率をどうして見直さなければならなくなったのかだ。それには理由がある。
消費税増税の「玉突き」
最初に構図を説明してしまえば、消費税増税の玉突きが軽自動車税にまで及んだ結果で、簡単に言えばとばっちりなのだ。現在、国も地方も税収不足に悩まされている。そこで懸案の消費税引き上げが決まったわけだが、税の引き上げは常に様々な方面から反対意見に晒されるもの、何がしかの見返りを用意しないわけにはいかない。そこで「消費税率が10%になったら」という条件付きで自動車取得税が廃止されることになった。 しかしこれに待ったをかけたのは地方自治体だった。やり玉に上がったのは税の取り分だ。現在の消費税率5%は国に4%、地方に1%配分される。ところが自動車取得税は税率5%(軽は3%)が全部が地方の取り分。地方自治体にしてみれば看過できる話ではない。「国の増収と引き換えに地方の税収を差しだすのか!」と猛反発。この内ゲバを納めるために白羽の矢が立ったのが、地方税の軽自動車税。自動車取得税廃止による地方税の減収を軽自動車税増税で辻褄合わせする計画なのだ。