総選挙で「自公過半数割れ」でも株価が上昇した3つの要因 今後は石破首相退陣や政権交代なども見据えてボラティリティが激しくなる可能性
10月27日に投開票された衆議院選挙は、与党である自民党・公明党の議席が過半数割れとなった。その翌日の株式市場は安値で始まったものの、その後はプラスに転じ、上昇して終了した。なぜこのような展開となったのか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんが解説する。 【表】NHKは政見放送を流していくら受け取れる?総選挙の選挙公営の支払い先ランキング
* * * 10月27日おこなわれた衆議院選挙で、与党である自民・公明の議席数の合計が215議席にとどまり、過半数である233議席を大きく下回りました。 翌日の10月28日の株価は前営業日比に対して安値で始まったものの、寄り付きが底値となり、その後はプラス圏に大きく上昇する展開となりました。なぜこのような反応が見られたのでしょうか。今回はいくつかの考えられる要因を挙げてみたいと思います。
【要因1】過半数割れは事前に織り込まれていた可能性
日経平均株価は、10月9日の衆議院解散以降、11日連続の陰線を記録するなど低調に推移していました。 事前に「与党の過半数確保は微妙」との報道が出ていたことや、石破政権の支持率が初期からかなり低かったことから、過半数割れはある程度株式のマーケットに織り込まれていた可能性があります。
【要因2】ビッグイベントを通過した安心感
総選挙などの大きなイベント前は、持ち高調整の売りや先行きの不透明感から上値が抑えられる傾向があります。しかし、イベントを通過することでリスクを取る方向性が見えやすくなることは事実です。 今回の選挙翌日の始値は3万7757.97円と、前営業日比で▲155.88円と下落して始まりましたが、警戒されていたほどネガティブな反応にはなりませんでした。 さらに寄り付きが大底となって上昇に転じたため、イベント通過の安心感からリスクオンの動きに傾いていった可能性があります。
【要因3】石破首相退陣で高市氏への期待も
大幅に議席を減らした自民党内では、石破茂首相や党幹部への責任論が浮上する可能性が高いと考えられます。総裁を辞任するか否かは石破氏本人が決めることであり、現状は続投の意向を示しているものの、辞任する可能性もゼロではありません。それだけ厳しい結果になったということです。 仮に責任を取る形で辞任となれば、総裁には、前回の総裁選の決選投票で惜しくも敗れた高市早苗氏が有力候補として浮上することも意識されます。 高市氏は、以前の総裁選時にはアベノミクスの後継者と呼ばれ、積極的な財政政策と金融緩和の継続により日本経済の景気を支える姿勢を明らかにしていました。 常に先を読む株式市場がこうしたシナリオまで見越しているとするならば、円安・株高の反応にもある程度納得がいくところです。
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