国交省から是正命令…トヨタが認証体制見直し、サプライヤーの戸惑いと懸念
トヨタ自動車は31日、国土交通省から型式指定の不正申請で是正命令と追加の不正事案を指摘されたことを受け、認証業務を実施する仕組みや組織体制を見直すと発表した。認証プロセスの責任と権限を明確化し、正確なデータ管理などの基盤の整備を進める。これらを再発防止策として取りまとめ、国交省に速やかに報告する方針だ。法規認証をテーマとした「TPS自主研究会」などを通じ、中長期的な仕組み・風土づくりにも取り組む。 【一覧表】国交省が不正を認定したトヨタの車種 トヨタの佐藤恒治社長は「認証業務そのものが現場に依存していたことを経営が反省しないといけない。甘い部分があった。環境整備を経営の責任としてしっかり取り組む」と述べた。 不正の背景に、現場と経営の両面で課題があると指摘。現場レベルで認証申請に必要な書類を作成する際の社内ルールの明確化や必要な経営資源の管理を徹底する。経営幹部の認証業務に関する理解や関与も深めていく。 追加で不正を認定された7車種については、国交省などの関係当局とともに基準適合性を順次確認していく。6月から出荷を停止していた「カローラフィールダー/アクシオ」「ヤリスクロス」の現行生産車3車種については、国交省が基準適合性の確認ができたことを踏まえ、9月初頭からの生産再開を予定。追加事案の「ノア/ヴォクシー」は7月29日から出荷を停止していたが、基準適合性が確認できたことから準備が整い次第、出荷を再開する。 新たな不正の発覚を受けてサプライヤーからは戸惑いや懸念の声が漏れる。中部地方のトヨタ1次取引先の首脳は、自社の業務への影響が長引くことについて「早く終わってほしい」と切実に語る。2次取引先の経営トップは「内示された生産計画から急に予定が変更になると工場の人員配置などを考えなければならず、混乱する」と話す。 材料加工メーカー幹部は「(トヨタ車の)生産が停止していることはかなり痛い話。いつ再開するのか」と首を長くする。別の取引先首脳も「一時的な影響だといいが、先行きが見えない」と気をもむ。 一方で「(国の対応は)厳しすぎる面もあるのでは」(2次取引先首脳)と自動車業界に寄り添う認証制度を求める声も聞かれた。