番記者のちょっといい話 再び輝きを放つヤクルト・山田哲人をみんなが待っている
(セ・リーグ、ヤクルト6―5阪神、11回戦、阪神6勝5敗、30日、神宮)ヤクルトが1―5の八回のビッグイニングで逆転勝ち。村上宗隆内野手(24)の適時打、長岡秀樹内野手(22)の3点三塁打で同点に追いついた後、代打の山田哲人内野手(31)が勝ち越し適時打を放った。 【写真】温泉に入る山田哲人ら 苦しい時間を過ごした分だけ、笑顔がはじけた。山田は今季、プロ14年目。打率は2割台前半で本来の姿を見せられていない。昨季までの2年間も下半身を痛めて不本意な成績に終わった。プロ野球は結果の世界。SNSを中心に批判的なコメントも多かった。かつては見向きもしなかったが、調子が上がらず、つい目にしてしまった。 「2年間は本当に落ち込む日々が多かった。去年の途中までアンチコメントも読んでいた。結果を出せない本人が一番分かっているし、つらい…。でも、周りに見せないようにあえて普通に振る舞っていた」 主将として、中心選手として、つらい姿は見せないという覚悟の表れだったのだろう。試合前には体にテーピングを巻くなど決して万全とはいえない中、勝利に貢献したいという強い思いでグラウンドに立っている。 記者は同じ1992年生まれ。今では各球団の中心選手となっている「92年組」だが、世代を引っ張ってきたのは間違いなく山田哲人だ。「過度の期待にはご注意をという感じだよ」と冗談めかすが、期待せずにはいられない。もう一度、とんでもない輝きを放つ姿をみんなが待っている。(ヤクルト担当キャップ・赤尾裕希)