海を望む高台に立っているのは古い平屋の住宅。 住民の姿はどこにもなく、いつしか“天空の廃墟”と呼ばれるように。 しかし今、入居者が殺到しているというのです。 一体なぜ人気なのか秘密を探りました。 「イット!」取材班が向かったのは、神奈川・横須賀市。 天空の廃虚は曲がりくねった急な坂を上った先にありました。 まるで時が止まったかのようにひっそりと建つ月見台住宅。 1960年に市営団地として建てられ、昭和から平成にかけて約60年間、多くの住民でにぎわいました。 しかし2年前に老朽化で廃止となり、空き家に。 近くに住む人は「もったいない。景色もいいし、海が見えるじゃないですか。人がいないと物騒だし…」と話します。 周辺にはコンビニはおろか店が1軒もありません。 そんな“天空の廃虚”が今、注目されているのです。 19日、住民がいないはずの月見台住宅に人の姿が。 実は、市と地元の不動産会社がタッグを組み、空き家となった約60戸の市営住宅をリノベーション。 自宅の軒先で気軽に商いをしてもらうため、住居兼店舗の賃貸物件として再活用しようというのです。 2024年の夏から入居者の募集が始まると、応募が殺到。すでに8割ほどが埋まっています。 物件の内見をしていた男性は、ラーメン店の出店を考えているといいます。 ラーメン店を出店予定の男性: 秘境ラーメンみたいな感じになったらいい。 家賃は5万円から8万円ほどで、カフェや古着店、バイクショップなどの出店を想定。 さらにドッグランやサウナ施設の設置も考えているといいます。 古民家カフェを開き、手作りのお菓子で客に楽しんでもらおうと、夢が膨らんでいる女性も。 古民家カフェを出店予定の女性: お菓子を作って販売したい。ここで作って、こちらの窓からお客さまと接客ができるということなので。これがどう生まれ変わるか、自分でも未知だが楽しみでもある。 この家をセカンドハウスとして借りるといいますが…。 古民家カフェを出店予定の女性: （Q.家族は知ってる?）実はまだ言っていない。これから正式に報告したい。 近くの住民からは「カフェとかあったら、お話しながら。刺激になっていい。ワクワクします」「街もにぎわうと思うので、いいんじゃないですか」と歓迎の声が上がります。 昭和の遺産“天空の廃虚”のリニューアル。 担当者も期待を込めます。 エンジョイワークス事業企画部・高才ゆきさん: 今、新築で再現しようと思っても、醸し出せない雰囲気があると思う。ここに来た時に「もっとここで何かできることがあるのではないか」と、みなさん思うようなポテンシャルをすごく感じます。