“何もない?”いや、かなり便利じゃないか… 東海道新幹線「岐阜羽島」その恐るべきポテンシャル
「のぞみ」から向かいの「ひかり」に乗り換えてひと駅「岐阜羽島」
東海道新幹線の開業当初からありながら、長年「駅前に何もない」などと言われ続けてきた駅が「岐阜羽島」です。2023年度の1日利用者数は5641人で、東海道新幹線の駅としては2番目に少ないです。しかし、着実に発展しているようです。 【じつは便利?!】岐阜羽島駅の位置と現地の様子(地図/写真) 岐阜羽島駅は東海道新幹線で名古屋駅の西隣に位置し、岐阜市の南、羽島市に所在。JR在来線は乗り入れておらず、JR東海の営業エリアからすれば“離れ小島”といえる存在です。駅前には名鉄羽島線の終点「新羽島駅」があり、日中15分に1本、岐阜方面(笠松)への電車が走っていますが、名鉄経由で名古屋方面へ行こうとすると、かなり迂回しなければなりません。 一方、東海道新幹線は「こだま」に加え一部の「ひかり」も停車するため、ほぼ全時間帯で毎時2本は停まります。また、名古屋駅で「のぞみ」と「ひかり」の対面乗換も行っており、名古屋駅からの所要時間はひと駅、およそ10分。同じく名古屋駅の隣に位置し、東海道新幹線で最も利用者が少ない「三河安城」よりも、利便性ははるかに高いと言えそうです。 今回、東京から三重県への出張にあたり、名古屋駅ではなく、あえて岐阜羽島を利用したという40代男性の話を聞きました。 といっても、男性はまず名古屋と岐阜羽島のどちらに泊まるか迷ったそうです。名古屋駅の近辺にも安い宿は多くありますが、岐阜羽島を選んだ理由は、レンタカー会社の口コミだったといいます。 名古屋駅近くのレンタカーのカウンターは混雑するので出発まで時間がかかることがある――これが直接的な決め手になったといいます。都心の渋滞に巻き込まれる可能性も考慮し、多少遠回りになっても、岐阜羽島の方が物事がスムーズに運ぶと考えたそうです。
おい「コストコ」あるじゃないか!
岐阜羽島駅前はビジネスホテルが集中しているほか、主要なレンタカー事務所も駅の目の前にあります。コンビニも近く、決して“何もない”場所ではないように思ったといいます。 「何より、名神高速の岐阜羽島ICが近くなので、クルマの利便性がいいです。そのICの前には『コストコ』があるんですよ。他にも大型商業施設があって、“何もない”の先入観は完全に覆りました」――男性はこう話します。 岐阜県唯一のコストコ“岐阜羽島倉庫店”は2015年にオープン。2021年には、岐阜羽島駅前の地価も初めて上昇に転じたというニュースが話題になりました。駅周辺では土地区画整理が完了し、住宅地としても注目されているそうです。 こうしたクルマの利便性の高さから、岐阜羽島駅で待ち合わせて、クルマで東海北陸道方面のレジャーへ向かうといった利用法もあると聞きます。そして近く、この利便性は一気に高められる見込みです。 2026年度には東海環状道の岐阜・三重県境の未開通部が完成する予定です。これにより名神高速と新名神・伊勢湾岸道が直結すると、岐阜羽島は三重県側へのアクセス性が飛躍的に高まります。ここから伊勢や大阪、和歌山方面へ向かう人も出てくるかもしれません。 ただ、SNSでは従来から名古屋のサブターミナル的な利用をしている人も少なくないのか、「岐阜羽島が発展しすぎると困る」といった声も見られます。
乗りものニュース編集部