一木造りの親子竜完成 富山県の井波彫刻師・太田さん、1年がかりの労作「達成感」
富山県南砺市井波の彫刻師、太田利治さん(63)が、ケヤキの一木造りで精巧な親子竜の彫刻を完成させた。井波彫刻師として40年以上のキャリアを持つ太田さんが制作に約1年かけた労作。依頼主への引き渡しを前に「苦労した分、達成感がある」と喜んでいる。 太田さんは魚津市出身。中学卒業後に同市出身の井波彫刻師、畠山勲さんに弟子入りした。現在は井波木彫りの里「匠工房」(南砺市北川)に工房を構え、主に全国各地の社寺彫刻を手がける。 2021年、兵庫県加古川市の夫婦から自宅の玄関に飾りたいと、一木造りの親子竜の制作依頼を受けた。夫婦からは井波の工房をいくつか回った末、太田さんに決めたと聞いた。 一木造りは細かい部分にのみが入れにくく、高度な技が要る上に、制作に時間がかかるとされる。「ある程度奥行きのある作品を一木で作るのは初めてだった。大変だが、妥協はできないと思った」と太田さんは振り返る。 材木の調達や図案作成を経て、23年1月から制作に取りかかり、今月仕上がった。高さ45センチ、幅70センチ、奥行き33センチ。親子の竜が波の上で見つめ合う。竜の腹やうろこの部分に特にこだわったという。
19日ごろまで工房で作品を展示する。太田さんは「依頼主に辛抱強く待ってもらい、今までで一番の出来栄えになった。これからもうまく彫れるよう努力を重ねたい」と話した。