8年ぶり参宮街道で群行 三重・明和の斎王まつり 平安絵巻、観衆ら沿道埋める
斎宮平安の杜周辺
斎王群行を再現する三重県多気郡明和町の一大イベント「第41回斎王まつり」が1日午後1時から斎宮のさいくう平安の杜(もり)周辺で開かれ、県内外から約3万人(主催者発表)が訪れた。8年ぶりに参宮街道での群行が復活し、斎王との縁が深い竹神社では、第39代斎王役の三田空来さん(20)=東京大2年、伊勢市出身=が玉串をささげ、1300年前からこの地で祈りを続けた斎王や人々に思いをはせた。
昨年の40回の節目を経て、今年は群行コースを変更し、2016(平成28)年以来、8年ぶりに参宮街道を歩いた。 この日、斎王の森では、十二単(ひとえ)姿の斎王役・三田さんや小袿(こうちぎ)姿の女別当役・山中唯亜さん(20)=大淀=をはじめ、平安装束姿の出演者らによるみそぎの儀などが行われた。 会場には、同町上野の三田さんの祖父・正之さん(82)、祖母・洋子さん(82)も訪れ、「この日を楽しみにしていました。衣装がとてもよく似合ってる。一緒に連れてきていた時が懐かしい」と晴れ姿に目を細めた。 出発式の後、「葱華輦(そうかれん)」と呼ばれる輿(こし)に乗り、群行が出発。総勢80人が織りなす平安絵巻をひと目見ようと、沿道は多くの見物客やアマチュアカメラマンであふれた。 8年ぶりに復活した参宮街道での群行では、かつて斎王の宮殿があったとされる竹神社前で輿を止め、斎王から子供従者役が玉串を受け取り奉納。かつてこの地で祈りを捧げた斎王らに思いをはせた。 約1キロを歩き、平安の杜に到着。斎宮寮長官役の下村由美子町長らが斎王一行を出迎え、「社頭の儀」(天皇からのささげ物を祭神にささげ、国家繁栄や国民の安寧を祈願)に臨んだ。 昼の群行を終えた三田さんは「いろいろな人に『斎王さん』と言ってもらえうれしかった。実行委員会やボランティアの方々のおかげでまつりが成り立っていることを実感しました」、女別当役の山中さんは「沿道の人たちから掛けられる言葉がうれしかった。昨年も参加しましたが今年は斎王を支えるメインを務めることができ、勇気を出して応募して良かったです」とそれぞれ話した。 群行後は、復元建物前で太鼓や吹奏楽のライブイベントが行われ、三重高ダンス部によるパフォーマンスなどが会場をさらに盛り上げた。 夜は、斎王の森から平安の杜までの約700メートルを約40人で群行した後、正殿の回廊や正殿前に出演者が再び登場。ラストに三田さんが正殿中央から登場すると会場から大きな声援と拍手が巻き起こった。出演者らが伊勢神宮を向き祈りを捧げると同時に西脇殿の奥から花火が打ち上がり、幻想的な雰囲気の中、フィナーレを迎えた。