ドル高円安でインフレ進行…日本円だけを持っていることは「何もしないリスク」「何も知らないリスク」につながる【投資を始める前に知っておきたいこと】
人生100年時代の資産計画に、投資は欠かせない要素のひとつになりつつある。「投資は怖い」と敬遠する人には「まずは今の日本の現状を知ること」というのは配当投資家・おけいどん(桶井 道)氏。 【資料】10年で大幅に円は安くなった 「ドル円為替レート10年の推移」。トイレットペーパー価格の変遷なども
高配当株・増配株を長期間保有する「ぐうたら投資」でコツコツと資産を増やし、資産1.8億円を築いたおけいどん氏は、日本に取り巻く経済環境を知ることも投資を始めるきっかけに繋がると考える。 おけいどん氏の新刊『おけいどん式「高配当株・増配株」ぐうたら投資大全』より、これから日本で起こるであろう「10の予測」のうち、後半の6~10の予測を紹介する。【前後編の後編。前編から読む】 * * *
【予測6】増税がたびたび議論されます
納税は国民の義務です。それを怠ってはいけませんが、税負担が増えることは、金融資産を圧迫する要因になります。振り返ると、税負担は重くなってきています。 身近な例は消費税でしょう。30年で税率は3倍以上になりました。 ・1989年/平成元年 4月1日施行(竹下内閣)初の消費税導入3% ・1997年/平成9年 4月1日施行(橋本内閣)5%へ ・2014年/平成26年 4月1日施行(第2次安倍内閣)8%へ ・2019年/令和元年 10月1日施行(第4次安倍内閣)10%へ(軽減税率導入) 所得税はどうでしょう。 2001年と2021年の給与所得者の税負担を比較しました。国税庁のデータによると、年収600万円以上の給与区分では所得税の負担が増しています(国税庁 民間給与実態統計調査より)。 相続税は2015年から基礎控除が引き下げられたことにより、課税対象者が増えています。 近年は、投資で得られる利益への課税強化や防衛費確保のための増税がしばしば議論になっています。今後もその傾向は続くでしょう。
【予測7】社会保険料も上昇しています
社会保険とは、相互扶助の理念に基づき、病気や高齢、介護、失業、労働災害などのリスクに備えるための公的保険制度です。 社会保険には、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つがあります。 給与所得者であれば、給与から保険料が天引きされていることが多いでしょう。事実上の税金のようなものです。前項で税負担が重くなってきたと申し上げましたが、実は社会保険料負担も重くなってきています。 被保険者負担が均一な国民年金保険料を見ると、月額保険料は、2001年から現在に至るまで3000円以上も上昇しています(日本年金機構より)。 多くの被保険者が加入している医療保険の「全国健康保険協会」、通称「協会けんぽ」の保険料率も上昇してきています。 給与から天引きされていると気づいていないかもしれませんが、これは「ステルス値上げ」のようなものですね。