バスケ女子“死の組”突破で3大会連続五輪切符 格上カナダに4点差 MVP山本「相手の弱いところを全員で理解」
「バスケットボール女子・五輪世界最終予選、日本代表86-82カナダ代表」(11日、ショプロン) 【動画】エブリン絶叫!日本が3大会連続の五輪出場決定 カナダとの激闘4点差で制す 最終戦を行い、東京五輪銀メダルで世界ランク9位の日本が同5位のカナダを86-82で撃破し、3大会連続6度目の五輪出場を決めた。国際バスケットボール連盟(FIBA)が公式サイトで“死の組”と紹介する激戦グループを2勝1敗で突破した。最終予選は4会場で行われ、ショプロン会場のMVPには3本の3点シュートを沈め、チーム最多タイの21得点を記録した山本麻衣(24)=トヨタ自動車=が選ばれた。男女そろって自力で五輪に出場するのは1976年モントリオール大会以来48年ぶり。 抱き合い、絶叫し、喜び、泣いた。コートで歓喜の輪を作り、12人全員が指先を天高く掲げる。敗戦なら五輪消滅の可能性もあった大一番で、日本は4点差の大接戦を制してカナダを撃破。恩塚監督は「チーム一丸でつかみ取った勝利。言葉にできないくらいうれしい」と感極まった。 40分間で攻守がかみ合った。平均身長で約9センチ上回る相手に、リバウンドで競り負けることは想定済み。その上で守備においては、ボールを持っている選手を2人で守りにいく要所のダブルチームなどでストレスを与え、相手のリズムを崩すことに徹底した。攻撃面では序盤の3点シュートをあえて封印。宮崎らの鋭いドライブで日本対策の裏をかき、相手が内側を固めたゲーム中盤から長距離砲を発射した。 山本はリングを次々と射抜き、83-80の残り約40秒ではこぼれ球をねじ込むビッグプレーなど、チーム最多タイの21得点。宮崎は16得点、4アシストと正司令塔として大活躍した。21本のフリースローを90%で決め切ったことも大きく、山本は「相手の弱いところを全員で理解して、攻めきったのが勝因」と胸を張った。 チームコンセプトは『走り勝つシューター軍団』。193センチの渡嘉敷来夢やオコエ桃仁花は外れ、ポイントガード4人、センター1人の布陣となった。平均身長は他国に大きく劣る174センチ。第2戦の格下ハンガリー戦では、身長差を突かれて黒星を喫した。 しかし、カナダ戦では、その弱点を機動力と40分間継続した運動量でカバーし、強みを十二分に発揮した。2022年W杯1次リーグ敗退、6連覇を逃した昨年のアジア大会など、東京五輪後から悔しさを味わってきた宮崎は「いい結果が出て良かった。ほっとしている」とうれし泣きした。 次に目指すは東京の地で届かなかった金メダルだ。決勝で米国につけられた15点差を今度は埋めてみせる。指揮官は「恩返しできるように頑張りたい」と決意を口にした。五輪切符を握りしめ、『アカツキジャパン』が勝負の舞台へと向かう。 ◆パリ五輪のバスケットボール女子 7月28日から8月11日まで行われる。12チームが参加し、開催国のフランス、22年W杯優勝の米国のほか、今回の世界最終予選から日本、中国、オーストラリアなど10チームが出場する。21年東京五輪は金メダルが米国、銀メダルが日本、銅メダルがフランスだった。