石原さとみ、様々な表情見せる『高嶺の花』は1粒で何度おいしい?
今回も石原のファッションに釘付け
番組のキービジュアルでは美しい和服姿を披露している石原だが、ドラマ中では洋装が多い。ドラマに出るたびファッションが話題となる石原。冒頭のパステルブルーのワンピからは、婚約が破綻になって以来、何を食べても味を感じないほどのダメージを受けたという憂いの気持ちが伝わってくるし、異母妹である月島なな(芳根京子)と遊園地で遊ぶ場面で着ているタートルネックのジャガードレースのワンピからは、良家の子女の匂いがたしかにただよってくる。シースルーブルゾンにしてもクリア素材のイヤリングにしても、いちいち趣味がいい。それも誰が見てもすぐわかるようなベタなブランド品で固めている印象ではない。そうかと思えば、ジャージ姿であぐらをかいて味噌汁をすすり、涙を湛えながらもバカ笑いをする。 そして、花を生けるときには和装で勝負に挑むといったメリハリの効いた演出がいい。帯を締め、紅をひき、颯爽とお披露目の場に登場するももの姿は美しくも凛々しい。
単なるラブストーリーではとどまりそうもない予感
脚本は「高校教師」(1993年、TBS系)や「薔薇のない花屋」(2008年、フジテレビ系)などを手掛けた野島伸司氏。石原は、野島氏の脚本でラブストーリーをやりたいとずっと言い続けてきたそうだが、それが今回やっと叶った形だ。だが、ロマンティック一辺倒な恋物語というわけではなく、振り幅の大きい怒涛のラブストーリー。たおやかなシーンも、ドタバタなシーンも、令嬢には似つかわしくないやや乱暴で砕けた言葉遣いや酒ヤケしたかのようなハスキーボイスも、何でもこなす石原の魅力が十分発揮されている。 また、共演陣の充実ぶりにも注目したい。ベテラン俳優・小日向文世が演じる、ももの父親で月島流家元の月島市松の存在感がいい。前クールではドラマ「コンフィデンスマンJP」で軽妙洒脱なノリの詐欺師を演じたばかりだが、今回は打って変わって厳格な家元役で重みのある役どころ。ももの異母妹を演じる芳根京子や、自転車屋のコスプレ娘役の高橋ひかる、スナック喫茶のママ役の笛木優子など、女優陣もそれぞれに個性が発揮されている。また、もものライバルともいえる、華道家であり新興の「宇都宮流」を率いる宇都宮龍一役の千葉雄大のイケメンぶりもさることながら、今後の物語にどう絡んでくるのかが楽しみだ。 ドラマのロケ地も気になる。前クールで人気だった深夜ドラマ「おっさんずラブ」と同じキリストンカフェが登場し、ネットでもすかさず話題になっていた。超・格差恋愛ということで、ロケ場所もおしゃれなカフェから下町の商店街まで、幅広い景色を見ることができそうだ。 いまや“石原さとみ”はドラマの一つのジャンルとなりつつある勢い。そんな勢いのある女優がさまざまな表情を見せる勢いのある物語。しばらく楽しめそうだ。 次も観たい度★★★★☆ (文:田村豊)