Jリーグにビッグクラブは必要か
国内からアジアへ目を向ければ、ガンバ大阪が頂点に立った2008年大会を最後にJクラブ勢はACL決勝にすらコマを進めていない。Jリーグとしてもさまざまなサポート体制を敷いてきた中で、レッズはこのオフに大量補強に成功しながらACLの1次リーグで敗退。アントラーズは出場権すら手にしていない。 昨年王者のサンフレッチェ広島、2位のベガルタ仙台もすでにACLから姿を消し、天皇杯覇者の柏レイソルだけが決勝トーナメントに勝ち残っている現状に、大東チェアマンも「強いチーム」という表現を使わずにはいられなかったのだろう。日本国内はもちろん、アジアの壁に風穴を空け、世界規模でJリーグを牽引するビッグクラブの台頭を願っている。 J1においては、ビッグクラブが存在しないゆえの現象も起きている。2010年に名古屋グランパス、2011年に柏レイソル、そして昨年はサンフレッチェと3年連続で初優勝チームが生まれた。今年は開幕前の下馬評を覆して、J1残留争いの常連だった大宮アルディージャが首位を走っている。 スーパーな選手を補強するよりも、指揮官による巧みなチームマネジメントや戦術の熟成によって優勝争いに加われる状況は、上位がビッグクラブ勢で固定化しているプレミアリーグ、リーガエスパニョーラ、ブンデスリーガ、そしてセリエAではまずありえない。 ここはJリーグが20年をかけて作り出してきた強みと言えるが、一方で、こうも言える。大東チェアマンが望む「強いチーム」が現れればリーグ内は、さらに切磋琢磨され、ビッグクラブを倒さんとする共通の合言葉のもとにレベルが上がる、と。 Jリーグと日本代表は車の両輪にしばしば例えられる。日本代表に数多くの選手を輩出したアントラーズの社長を務めた大東チェアマンも「Jが強くなることによって代表も強くなってきた」と明言する。 ビッグクラブの存在は、日本代表の強化にも直結する。しかし、現状を見ればアジアを制し、5大会連続5度目のW杯切符獲得に王手をかけている代表に対して、Jクラブ勢はACLにおいて中東勢やバブルに沸く中国勢の壁の前に跳ね返され続けている。Jクラブの停滞は、ひいては代表にも悪影響を及ぼしかねない。だからこそ今、日本代表に何人も選手を送り出すようなビッグクラブが望まれるわけだ。