始まった「令和のマネロン退治」 検察と警察がタッグ、トクリュウ壊滅へ
法務・検察関係者は「検察と警察は元々、しっかり連携していたが、その連携の強化が確実に進んでいることの証しだろう」と語る。
■組織犯罪抑止の特効薬
検事の経験がある弁護士は「トクリュウや生き残りを賭ける暴力団など、違法収益を組織拡大や犯罪活動への再投資に充てる犯罪組織を封じ込めるには、マネロンの徹底捜査が不可欠だ」と語る。
トクリュウは、首都圏などで今年犯行が相次いだ闇バイトによる連続強盗グループや、「ルフィ」と名乗る指示役による特殊詐欺・広域強盗グループが典型とされるが、その形態は多種多様だ。
たとえば、パソコンを乗っ取って身代金を要求するランサムウェア攻撃で利益をあげていた世界最大の国際ハッカー集団「LockBit」(ロックビット)について、捜査幹部は「国境を越えたトクリュウだ」と指摘する。
ランサムウェアを悪用する犯罪者集団は、ウイルス開発者や攻撃役など国境をまたいだ分業制。攻撃役は、非合法な情報やマルウェア(ランサムウェアなどの悪意あるソフトウェア)、違法薬物が取引されている「ダークウェブ」でリクルート(募集)されるなどしており、ビジネスライクなメンバーだからだ。
法務・検察関係者は「マネロンを行うのは、犯罪行為の中心グループ以外に、偽造の身分証や他人名義のスマートフォンの密売で稼ぐ組織など周辺グループもいる」と指摘。
その上で「マネロン対策には、通信の匿名化といった日進月歩の手口の多様化など、高い壁もある。組織犯罪封殺への道のりはまだ緒についたばかりだ」と述べている。(大島真生)