「この国にもっと精神病患者が、増えればいいと思っています」というセリフの真意は? 日本社会に巣くう“心の問題”を救うスーパードクターを描いた漫画『Shrink~精神科医ヨワイ~』がヒットした理由
主人公の精神科医・弱井の名前の由来とは
――難しいテーマの作品は、得てして説明調になってしまいますよね。 そうなんですよね、あまり説明が長いと、どうしても漫画としては面白くなくなってしまいます。だから、いかに知識をしっかり見せながら疲れずに読んでいただけるかは、かなり意識しているところです。 あとは、精神医療をテーマにしているので、なにより当事者の方を傷つけてはいけないし、読者の方を不必要に戸惑わせたり、病に対して余計な誤解を生んだりしてはいけません。ですので、症状を大げさに描いたりせず、できる限り正しい医療知識や、現在のデータをベースに書くようにしています。 ――とはいえ、劇中のセリフにはインパクトが強いものが多いです。これらのセリフはどう考えているのでしょうか。 医療従事者や支援職の方々を取材した際にヒントをいただくことはたくさんありますし、もちろん当事者の方から実際の言葉としていただくこともあります。それらを、読者の方々やその周りの方たちの体験と、どう繋げて身近に感じてもらえるかということを意識しています。 ――エピソードごとに登場するキャラクターもとても魅力的です。シナリオの時点でかなり固めているのでしょうか。 シナリオを月子さんにお渡しするときに、性格の特徴をできるだけ挙げたり、外見のイメージについても俳優や有名人の方をモデルとして提案したりします。それをもとに月子さんがさらにイメージを膨らませて素敵なキャラクターを作り上げてくださっています。 ――それ以外に、月子先生にリクエストしてることはありますか? ネームの段階で一番修正をお願いすることが多いのは表情だと思います。表情からキャラクターの症状や感情がどんな状態なのかをなるべく見せたいと思っているので、細かいお願いをさせていただくことがあります。 ――特に、主人公である精神科医の弱井(幸之助)先生は、優しい雰囲気がとても魅力的です。「弱い」という特徴的な名前をつけた理由はありますか? アイコンとしてわかりやすい名前にしたいなと思いました。この企画を立てたときに考えていた「弱いことは悪いことではない」、「弱いからといって精神疾患にかかるわけではない」ということを伝えたかったのと、弱井自身が多くの知識を持つスーパードクターな一方で、片付けが下手だったり、悲しい過去を持っていたりして、彼自身も不完全な人間だということを大事にしたくて「弱井(い)」という名前にしました。
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