世紀の大暴落でも冷静でいられた理由 投資経験25年でわかった「安全10銘柄」
日本株だけ投資するのはリスク大
次に、2つ目の「視点」について解説します。 日本株だけでなく、世界の株に目を向けてください。日本株だけしか持たなければ、日本の事情で株価が下がったケースでポートフォリオ全体への影響が大きくなります。なので、米国株も持っておくことを提案します。 米国には、世界を代表する巨大企業が多く存在します。と提案すると、「米国株だけ持てばいいんだね」という意見も出そうですが、それはそれで米国の事情で米国株が下がるケースもあります。そこで、私が実践するのが、日本、米国、さらには米国以外の外国も加えた、地球儀を俯瞰する投資=「世界分散投資」です。 私は世界30ヵ国ほどに投資をしています。そのほとんどが、東証に上場しているか、米国市場に上場している銘柄なので、投資初心者向きと言えます。 では、どうやって世界の優良銘柄を選べばいいのでしょうか。ぜひ次の2つの流れを頭に浮かべてください。 ・地球の人口は増え続けています→必要とするモノやサービスの需要が増えます→そこに供給できる企業は儲かります→売上高や利益が増えれば株価は上がります ・人間は便利を追求し続けます→イノベーションが起こります→その分野で供給できる企業は儲かります→売上高や利益が増えれば株価は上がります 地球規模の課題を解決する、世界を発展させる、世の中を便利にする、誰かの悩みを解消する、世界やその国の衣食住を充たす、人の命を守る・救う......などの視点で企業を選べばいいのです。増える需要に応えて供給を増やせる企業、世界的な課題に対してソリューションを提供できる企業が、売上高や利益を増やして、株価を上げるということです。
世界の優良企業を狙い撃ち、10銘柄紹介
こうした観点から私が投資している企業を「10銘柄」紹介しましょう。 (1)TSMC(台湾) 最先端の半導体を製造する、半導体製造のリーディングカンパニーです。スマホもPCもエアコンも半導体がなければ動きません。国防にも欠かせません。現代社会に必須となる製品です。 (2)ASMLホールディング(オランダ) 半導体製造装置のメーカーです。半導体の微細化において重要な役割を担う「EUV露光装置」は、世界でASMLホールディングしか製造できません。 (3)ノボ・ノルディスク(デンマーク) 糖尿病ケア製品の世界ナンバーワン製薬企業です。最近は、肥満症治療薬で注目されています。肥満を抱えて暮らす人は年々増加しており、その悩みを解決する企業になると期待しています。 (4)メドトロニック(アイルランド) 心臓のペースメーカーの世界大手です。その他、手術用機器・器具など、人の命を守る製品を作る医療機器のグローバルメーカーです。 (5)BHPグループ(オーストラリア) 経済成長するためには資源が必須です。街、建物を作るには資源が必要だからです。ビル建設には鉄を使います。鉄は鉄鉱石と原料炭が原料です。また、電線には銅が必要です。BHPグループはそれらを採掘している、3大資源メジャーです。 (6)コルテバ(米国) 世界の人口が増加し食料需要が増えるなか、異常気象、紛争などにより食料供給は問題を抱えています。コルテバは植物の能力を最大限に引き出すための遺伝子編集研究等により、収量が増加する種子の開発を行ってきました。現代農業を支える大手アグリサイエンス企業です。 (7)ディア(米国) 自動運転トラクターを開発しました。農家はトラクターが自動で作業する間に、別の仕事ができます。また、肥料をピンポイントで散布して、消費量を大幅に減らす農機もあります。ディアの農機は、自動化、省力化、効率化によって、農業のサステナビリティを支えていると考えます。 (8)ビザ(米国) 世界No.1のデジタル決済事業者です。きっとあなたの財布にもVISAカードがあるはず。世界200ヵ国以上に決済網を持ち、160の通貨に対応しています。世界のクレジット決済数のうち約40%も占めています。 (9)三菱商事(日本) 資源領域、非資源領域の両方で、世界中でありとあらゆる分野で事業をしています。それだけ貢献度の高い企業と評価しています。 (10)NTT(日本) 日本の通信を支える企業です。2030年ごろに実用化を目指す「IOWN構想」は、次世代コミュニケーション基盤です。これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信に期待しています。 つねに成長し続ける日本企業だけでなく、次の時代を担う海外の企業が中心です。 本社所在地が日本や米国である必要はありません(ただし、カントリーリスクのある国は避けましょう)。このような世界の優良企業を狙い撃ちして、当該企業の成長に寄り添うように長期保有することで、株価上昇に乗ることが再現性の高い投資といえるのではないでしょうか。 また、ここに紹介した銘柄は高配当株や増配株がメインですので、配当金も得られます。株価上昇+配当金で二度おいしい投資になるでしょう(詳しくは、新著『資産1.8億円+年間配当金(手取り)240万円を実現! おけいどん式「高配当株・増配株」ぐうたら投資大全』をご参照ください)。 これならプロと戦う必要がなく、投資したみんな(=株主みんな)で儲けることができるポテンシャルがあるといえます。
本稿のまとめとして、乱高下を繰り返す相場への対応法は次のようになります。 (1)大原則として、短期売買せずに長期投資する。短期で利ザヤを抜こうとせずに、長期で企業の成長に寄り添う投資をする。 (2)当該企業に投資した理由を思い出す。経済指標を理由に投資した訳ではないはず。 (3)長いスパンで投資を見る。短期の株価の動きに惑わされない。 (4)辛いなら「ノールック投資」がいい。株価を見るから辛くなる。 (5)世界分散投資をする。世界の優良銘柄を狙い撃ち。 いかがでしょうか。少しでも心がラクになっていただけましたなら幸いです。
桶井道(個人投資家)