世界幸福度ランキング、若者の間に広がる「中年の危機」を報告
国連の「国際幸福デー」だった3月20日、2024年版の「世界幸福度報告書(World Happiness Report)」が発表された。フィンランドが7年連続で1位となったほか、2020~23年のランキングと同様、北欧の各国が上位を占める結果となっている。 143カ国・地域を対象に行われているこの調査では、ギャラップ世界世論調査などが収集したデータに基づき「社会的支援、1人あたりGDP、健康、選択の自由度、寛容さ、認識されている腐敗の程度」の6項目に関する幸福度を測定、順位を決定している。 国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)やオックスフォード大学ウェルビーイング・リサーチ・センターなどが協力して行っているこの調査で、米国は今回、前年の15位からさらに順位を下げ、過去最低の23位となった。 2012年に初回のランキングが発表されて以来、米国が初めて上位20カ国から外れる結果となった主な理由としては、若年層の幸福度が特に低下していたことが挙げられている(30歳未満で62位)。 今回の調査では、30歳未満の幸福度が高かったコスタリカとリトアニアが順位を上げ、それぞれ12位、19位に入っている。ポルトガル、ギリシャでも年上の世代より若者の幸福度の方が高かった 一方、60歳以上の幸福度では、デンマークが1位だった。この年齢層では、米国は10位につけている。報告書によると、高齢者の方が若者より幸福度が高い傾向は、ノルウェー、スウェーデン、ドイツ、フランス、英国、スペインなど、その他の国にもみられている。 そのほか、最新のランキングでワースト5に入ったのは、レバノン、レソト、シエラレオネ、コンゴ、最下位のアフガニスタンだった。また、日本の順位は51位となった。
ランキングの上位20カ国は?
こうした結果のなかで、特に意外な点として指摘されているのが、パレスチナのイスラム組織ハマスとの戦闘が続くイスラエルが5位に入ったことだ。これは、ランキングが過去3年のデータの平均値に基づいて決定されていることが理由だという。イスラエルは2022年から、トップ10に入っていた。 ■まん延する孤独 今回の調査では、ウェルビーイングに関するデータから、子どもや若者たちの幸福度の低下が確認された。 報告書をまとめたオックスフォード大学ウェルビーイング・リサーチ・センターのヤン・エマニュエル・デ・ネーヴ所長らは、北米と西欧を中心にみられるこの傾向は「不安を感じさせる」ものだと述べている。一部の国では未成年者がすでに「中年の危機」と似たような心理的状態にあり「早急に政策措置を講じる必要がある」と促している。 調査結果に見られるもう1つの特徴としては、孤独を感じている人の増加が挙げられる。特に米国では孤独が「まん延」しており、人々の心身の健康に影響を及ぼしているとされる。 さらに、米国では特に孤独を感じているのが「最高齢の層ではない」ことも、注目されている。「北米のミレニアル世代の孤独感は、1965年以前に生まれた人たちの2倍になっている」という。 ■ランキングの上位20カ国 以下、最新のランキングで上位に入った各国を紹介する。 1. フィンランド 2. デンマーク 3. アイスランド 4. スウェーデン 5. イスラエル 6. オランダ 7. ノルウェー 8. ルクセンブルク 9. スイス 10. オーストラリア 11. ニュージーランド 12. コスタリカ 13. クウェート 14. オーストリア 15. カナダ 16. ベルギー 17. アイルランド 18. チェコ共和国 19. リトアニア 20. 英国
Laura Begley Bloom