就職戦線で「オヤカク」が増加?背景にブラック企業回避も
売り手市場と言われる新卒の就職戦線。人材を求める企業側では、就職希望者の親に入社や内定を承諾しているかを確認する“オヤカク”が広がりつつある。採用コンサル会社によると、コロナ流行の前後から就活への親の介入、影響力が高まり、直近1、2年では企業の選定にまで踏み込む印象だという。一方で就活生自身が親の確認を得なければ就職先を選べないという息苦しさを訴えるケースも。企業と就活生のマッチングについて、当事者と共に『ABEMA Prime』で考えた。 【映像】近年増加している“オヤカク”とは
■スタートアップ企業に反対する親を「半年間かけて説得」
大学4年生の佐藤さんは就活中に約20社にエントリー。その中で自身の希望企業は3社のみで、ほとんどは親が指定した金融機関などだった。「親は安定思考が強くて、僕より就活への意識や熱意を持ち始めるのが早かった」。 内定を得たのは、希望しているスタートアップ企業と金融機関の2社。佐藤さんは「やりがいや、楽しく自分らしく働けるというところで、スタートアップ企業を志望していた。折れない気持ちで、半年間かけて親を説得した」「金融機関に行ったら、後悔して、楽しめない状態で生きていくことになるかもしれないと伝えたら、“そこまでの覚悟を持っているなら、自分の好きなところに行きなさい”と言われた」と希望企業への入社を決めた。 企業からのオヤカクはあったのか。「そのスタートアップ企業からはあった。親が懸念している点をまとめた資料を持っていって、全部答えてもらった。金融機関はそんなに多くなかったイメージがある」と答えた。
「アローリンク」で内定辞退防止のコンサルを行う蘓伸太郎氏は「スタートアップ企業は一人の負担が大きくなる。“本当に一緒にやっていけるか”というのは、本人の覚悟も大事だが、親御さんがどう送り出してくれるかで働き方が変わってくる」との見方を示した。
■オヤカクは学生の意志を奪う?ブラック企業の察知にも?
マイナビ2022年度の新卒採用・就職戦線総括によると、就職先選びで重視する意見は「父親・母親」が64.1%、「学内の友人」が29.1%、「誰の意見も聞かず」が18.3%、「学外の友人」が16.9%、「就職関連教員」が16.4%。 蘓氏は「親御さんが子離れできていないケースだと、いざ就職する・働くといった決断をしないといけない時に介入があったりする。“親の言うことは聞くけど、会社の言うことは聞かない”ということも考えられるので、関係性を見ておくという意味で確認する企業は一定数いる」と話す。