審判講習会が甲子園球場で開催 女性審判員7名も初参加「女性審判が今後増えていくきっかけになれば」
高校野球の第64回全国審判講習会が13日と14日、西宮市の甲子園球場で開かれた。 別名「伝達講習会」と呼ばれ、例年、47都道府県から1人ずつ(北海道は南北2人)の代表者が甲子園球場に集まり、春夏の甲子園大会で委嘱されている審判委員が講師となって、各都道府県に持ち帰って伝えてもらっている。64回目の今年は48人に加え、各都道府県の公式戦でジャッジする女性審判委員7人が初めて招かれ、計55人が受講した。モデル校として大阪府と兵庫県から計6校の野球部員も参加した。 初日のメニューを終えたあとに取材対応した7人の女性受講者のコメント 発声、ジェスチャー練習から始まり、模擬試合で実際にジャッジした。他にもフォースプレー、タッグプレーの判定やランダウンプレー、投球判定、打球判定、フォーメーション総合練習など、様々な内容のメニューを行った。今回は初めて55人を14クルー(1クルー3、4人)に分け、各クルーに講師2人ずつがついてアドバイス。本塁打のジェスチャーでは、「バッターにホームランおめでとうの思いもこめて」などのアドバイスも飛んだ。 投球動作では、今シーズンから変更となった、いわゆる「二段モーション」解禁の説明などがあった。 2日目は各クルーがよりコミュニケーションを取れるようになり、積極的に意見交換や講師にアドバイスを求めるシーンが多く見られた。 東京都から参加した佐藤加奈さんは「野球人口が減っている中で、女子の野球人口は増えています。その中で野球をやってみようという女の子たちが増えたり、私も今、子育てをしていますが、子供を応援しているママが私も審判やってみようというきっかけになればいいなと思っています。こうして輪が広がり、各地区でもどんどん広がっていけば」と女性審判が今後増えていくきっかけになってほしい気持ちを話した。 埼玉県から参加した森田真紀さんは、「細く長く続けるというのがこの世界では大きな課題。ましてや女性は結婚・出産となると、私も(一時期)離れましたが、先を見通したときに女の子が(審判に)入りやすい環境を整えてあげるとか、入ってからもいっぱい来られないけど、コンスタントにやっていて長く続けられましたよね、という環境を整えるのが、今の私の仕事かなと思っています」と女性も審判を続けやすい仕組み作りへの思いを語った。 閉講式で講評した日本高校野球連盟審判規則委員会の講師代表は、「一番のテーマは『高校野球審判に必要な心構え・技術を理解し、未来につなげる』です。今年夏の選手権は第106回大会で甲子園球場は8月に100周年を迎えます。長い伝統のある100年の中の高校野球に携われている幸せを感じてほしいと思います。これが110回大会、200回大会へと続きます。その何回かを私たちがつないだという誇りと、つないでいく責任を感じて、各都道府県に今回の研修の内容を持って帰っていただけたらと思います。各都道府県の106回大会が素晴らしい大会になることを心から願っています」と受講生にエールをおくった。 (取材=松倉 雄太)