4K通販チャンネルが来春“BS右旋”に引っ越し。BS4K左旋は消滅へ
ショッピングチャンネルの「ショップチャンネル4K」「4K QVC」が、2025年4月1日より、BS右旋での放送を開始する。BSハイビジョン放送と同じ電波・周波数帯域を利用するため、4Kテレビ等があれば、BSアンテナや配線を交換せずに無料で視聴できるようになる。これに伴い、BS左旋で現在放送中の「ショップチャンネル4K」「4K QVC」は2025年3月31日で終了。2025年2月末にWOWOW 4Kも終了するため、BS左旋を使う4Kチャンネル数は来春でゼロになる。 【画像】総務省作成「衛星放送の現状」より 来春よりBS右旋にチャンネル移行する「ショップチャンネル4K」と「4K QVC」は、2018年12月にBS左旋で無料放送を開始。しかし、BS左旋は4Kテレビ・チューナーに加え、BS左旋を受信するための専用アンテナを設置する必要があるため、視聴者が限られていた。BS右旋にチャンネル移行することで、視聴者数の更なる獲得を目指す。 ■ 総合エンタメチャンネル「OCO TV」も鋭意開局準備中 4日、都内で行なわれたA-PAB(一般社団法人放送サービス高度化推進協会)の記者発表会では、ショップチャンネルを運営するSCサテライト、および4K QVCを運営するQVCサテライトの代表者らが登壇した。 SCサテライト代表取締役社長の佐々木良太氏は「我々は、エンターテイメントとしてのショッピングを通じ、良い商品とお客様をつなぐストーリーをつむぎ出し、多様化するお客様の日々の暮らしに心を躍る瞬間をお届けする、ということを理念としている。その取り組みの1つが『日本を見つけよう』という番組で、2008年の沖縄を皮切りにこれまで29回のライブ中継を通じ地方の優れた特産品を紹介してきた。今後も趣向を凝らし、4K視聴の可能性を広げていきたい」とコメント。 QVCサテライト放送編成本部放送部長の高倉裕助氏は「4K QVCは、ピュア4KHDRの画質で24時間365日の連続放送を2018年より開始。昨年12月には、AI技術を活用した全時間100%字幕を実現した。そして来年4月には、BS4K右旋での放送を始める。より多くの視聴者の方に我々のショッピングを超えた体験を届け、そしてさらにこの機会を頂戴したことを活かし、より全ての方々により豊かな未来となるよう尽力していきたい」と、意気込みを語った。 BS4K右旋帯域での新チャンネルとなる「OCO TV」(無料、一部有料)も、来年の開局を前に、チャンネル内容を紹介するプレゼンテーションを実施した。 運営会社OCOの代表取締役社長を務める岡本光正氏は「OCOは“Only Content On”の意味しており、OCO TVはコンテンツに特化した、アジアの総合エンターテイメントチャンネルを目指す。娯楽番組は、日本を含む韓国、中国、インドネシア、インドなどの映画、ドラマ、ドキュメンタリー、音楽など何でも取り上げる。報道枠はエンタメニュースが中心となる予定で、教養・教育枠は日本を中心に、各地方のケーブルテレビなどとも協力して4Kの番組を作っていく」と話した。 さらに「我々は4Kチャンネルしかない。他の局と違い“2Kチャンネルを持たない4Kチャンネル”であるため、4Kで勝負するしかない。その準備が現在進行中であり、来年の会見の場では、より具体的な材料を含めてお話しできるようにしたい。ただ残念ながら、ちょっと2025年4月1日の開局が間に合わないかなと思っている。できるだけ早く解決できるよう努力するが、詳細は確定したら皆様にお伝えする」と話し、放送開始の時期が後ろにズレ込む可能性も示した。 ■ 12月は4K8Kオリジナル番組を100本放送 NHKと民放5局は、今夏に4K8K衛星放送の視聴可能機器の出荷台数が2,000万台を突破したことを記念し、「祝!2,000万台突破!BS4K8K 衛星放送で超100!! 見ようよキャンペーン」を実施する。ピュア4K・8K制作された新作・名作番組を100番組超放送するもので、「サイマルで放送しないため、4Kボタンをプッシュして、4Kチャンネルに合わせないと視聴できない、各社の“力作”を用意した」という。 各局のイチオシ番組は番組は以下の通り。そのほかの番組は特設サイトを参照のこと ・NHK BSP4K 12月21日21時から 「The Cover's Fes. in 広島」 MC:リリー・フランキー、上白石萌歌 ・NHK BS8K 12月18日19時から 「N響『第9』演奏会」 ※ライブ、22.2ch ・BS日テレ4K 12月24日21時から 「島っぷ」 出演:藤岡弘、、天翔愛 ・BS朝日4K 12月15日21時から 「上野樹里 クジラの生きる星 ~ニュージーランドそして南の海へ~」 出演:上野樹里 ・BS-TBS 4K 12月21日19時から 「迷湯パラダイス 湯かりの人2」 出演:河合郁人、富栄ドラム ・BSテレ東4K 12月30日19時から 「道を拓く~上高地・槍ヶ岳200年物語」 出演:小椋久美子 ・BSフジ4K 12月27日19時から 「日本遺産物語 佐渡島の金山~世界を動かした日本の鉱山遺産~」 出演:相川七瀬 A-PAB理事長を務める加増良弘氏は「今年の8月末で、4K8K放送の視聴が可能な機器が2,000万台を無事突破した。そして4年後のロスオリンピックの開催時には、4,000万台を突破するという大きな目標を掲げた。しかし大事なのは、台数が増えることだけでなく、見ている方が増えること。そして最も重要なのはコンテンツが充実しているかどうかということだ」とコメント。 「テレビは歴史的に、12月から正月にかけて、一番華やかで力のこもったコンテンツが登場する。BS4Kのテレビ局も普段はちょっと節約しているが、ここぞとばかりにスペシャルな番組を用意してくれた。テレビには大きなパワーがある。皆の心を揺さぶるパワーがある。年末年始は是非テレビの、特に4K8Kのパワーを改めて認識していただければ嬉しい」と話した。 またビーエスフジ常務取締役の荒井昭博氏は「BS4K8Kの視聴可能台数が今年2,000万台を突破し、順調に推移している。次の課題は4Kテレビの普及と同時に、(リモコンの)4Kボタンをいかにプッシュしてもらうか? ということ。是非多くの方に“4K8Kボタンをプッシュ!”してもらって、各局の力作……4K8K放送の面白さ、映像の美しさ、大画面で見る迫力、圧倒的な臨場感を味わってもらいたい」と語った。
AV Watch,阿部邦弘