父系にひと癖あった名種牡馬「ディクタス」 日本で多数の活躍馬を出した要因とは
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬 【写真】ステイゴールドのこれまでの軌跡 【ディクタス】 「サンクタス×ワードン」という組み合わせは、同じくフランスから輸入された種牡馬サンシー(ハギノトップレディなどの父)と同じ。父系はゲインズボローにさかのぼるスタミナタイプですが、このラインは気性の激しさも同居しているため、その出方によってステイヤーに出たりマイラーに出たりと掴みどころがなく、ディクタス自身は芝1600mのジャックルマロワ賞を勝ち、その父サンクタスは芝3000mのパリ大賞を勝ちました。 ちなみに、サンクタスと同じくファイントップの代表産駒となったトピオは凱旋門賞馬で、三冠馬ミスターシービーの母の父となりました。最後方から行くという同馬の癖のあるレーススタイルは、この血の難しさも関連しているのではないかと思います。 ディクタスはフランスで種牡馬入りしたあと、1981年から社台スタリオンステーションに移り、9年間供用されました。幸運だったのは、偉大なノーザンテーストがひと足早く種牡馬入りしていたこと。ディクタスは同馬の娘たちと抜群の相性を示し、サッカーボーイ、イクノディクタス、ムービースター、ディクターガール、クールハートなど多くの活躍馬が誕生しました。ディクタスは非主流のフランス血統で固められ、ノーザンテーストはノーザンダンサーの息子でレディアンジェラ3×2という主流血統の塊。対照的な個性がぶつかり合ったことが成功の要因でしょう。この配合は仕上がりが早く、切れ味があり、平坦巧者が目立ちました。 サッカーボーイの全妹がステイゴールドの母となり、ステイゴールドはオルフェーヴルやゴールドシップなどを通じて父系を繋げています。 ◆血統に関する疑問にズバリ回答! 「ダート戦のナダル産駒の狙い方は?」 2歳のダート戦線でナダル旋風が吹き荒れています。 ナダル産駒は現時点でJRA9勝。新種牡馬のJRA勝利数ランキングでは、1位サートゥルナーリア(11勝)、2位アドマイヤマーズ(10勝)に次ぐ第3位です。9勝の内訳は、芝3勝、ダート6勝。芝連対率が23.3%であるのに対し、ダートは倍以上の55.0%。掲示板に載れなかったのは20走中わずか2回です。 ダートの成績が素晴らしい、というのは周知の事実となっているため、馬券的にはまったく妙味がありません。あえていえば、芝の新馬戦で1秒以上離されて負けた馬がダートに転じた、というケース。このパターンは現時点で5回走って1勝、2着2回、3着1回。複勝回収率は116%です。