「仕方ないでは済まされない」阪神4つの敗因と深刻な問題を里崎氏が指摘
その独自評論がファンの支持を集める元千葉ロッテの里崎智也氏に言わせると、「ペナントレースの中では完勝、完敗は、よほどの戦力差がない限り、どのチームにも均等にある。順位に差がつくのは、薄氷の勝利と惜敗の数。つまりやりようによって勝てたという試合だ。この試合の上下が重要になる」ということらしい。 では、5日、横浜スタジアムで横浜DeNAに1-4で敗れた阪神の試合は、どれにあてはまるのか。 里崎氏は、「やりようによっては勝てた試合」と言い切った。 この試合の敗因は4つある。 第一は福留のミス。4回一死一、二塁で梶谷のレフトへの打球がナイター照明に重なり、完全に見失った福留は、不用意に突っ込んだため、グラブに触れることもできずに打球をスルー。外野フェンスに到達する間に逆転の一塁走者まで生還させた。不慣れなレフトのポジションでの初の横浜スタジアム。想定外の打球の角度で照明が目に入ってパニックになったのだろう。金本監督も、「照明が目に入ったように見えた。でも、勝負にいって捕りにいったんだから」と、外野経験者として福留のミスを責めなかった。 だが、里崎氏は、「仕方がないで済ますべきでない」と手厳しい。 「ライトや太陽と重なると真っ白になりボールがまったく見えなくなる。だが、事前に、どの角度のボールが照明に重なるかを把握しておき、その場合は、どう対応するかを準備していたのだろうか。ナイター用のサングラスをするべきか、などの万全の準備をしてきたの?と疑問も沸く。野球に仕方がない、はないと思う」 二つ目の敗因は、1-2で迎えた5回無死一、二塁のチャンスで投ゴロ併殺打に終わったドラ1大山の打席だ。濱口は糸井、福留への連続四球の後、大山に対してもボールが2つ先行。10球連続でストライクが入らずアップアップだったが、3球目の外角低めのボール球を空振りして助け、結局、投ゴロ併殺打に終わった。 「バントでよかったのではないか。大山は、最初の打席で、変化球にタイミングがあわず、おそらく、あの打席はストレート狙いだったのか、逆球の手を出さなくてもいいボールに手を出した。ベンチは空振りをしてカウントが2-1になった時点で作戦をバントに切り替えても良かったと思う。最後も難しいボールを振ったが、もし見逃していれば、ゲーム展開は大きく変わったのかもしれない」 金本監督が「ベンチから待てを出せば良かったかも」と振り返ったシーンである。 3つ目はベンチの指示ミスだ。 「横浜DeNAの先発、濱口は持ち味を出した。四球を出し走者を背負いながらも、そこからが粘り強かった。腕を振ってくるので、チェンジアップ、フォークの見分けが難しく、7回の福留の打席みたいに、時折、ビシっとコースに決まるので、なおさら絞りにくい。そういう濱口に対して、聞くところによると阪神ベンチは、変化球でなくストレート狙いを指示していたそうだが、この日は、そのストレートがことごとくボールになっていた。ベンチの指示がストレートなので、少々、ボール気味でもストレートには手を出して結果的に濱口を助けた。ベンチにしてみれば『ストレート狙いでもボールは振るな』だったのだろうが、まだ打線が完全復調していない状況では、そこまでの対応力を求めるには無理があったのではないか」 この試合、三者凡退は一度もなく、先頭打者の出塁が3度、スコアリングポジションにも5度進めた。濱口を攻略する機会はありながらズルズルと終わってみれば、わずか1得点である。