相次ぐ陸奥湾震源の地震「通常の活動の一部」 専門家が説明、地殻変動確認されず
今月中旬以降相次いでいる、陸奥湾を震源とする地震について、東北大学大学院の日野亮太教授(同大学院理学研究科地震・噴火予知研究観測センター長)は27日、狭い範囲の地震活動にとどまっており顕著な地殻変動は確認されていないことから「現段階で取り立てて心配なところはない。通常の地震活動の一部」との見方を示した。宮下宗一郎知事が青森県庁で開いた臨時記者会見にオンラインで出席し、説明した。日野教授と宮下知事は、津波発生の可能性はあるとして「身を守る方法を考え、備えてほしい」と呼びかけた。 会見に同席した青森地方気象台の齊藤重隆台長は「地震活動は時間の経過とともに低下してきているが、活動は継続している」と解説した。 発表によると、今月16日以降、今回の震源付近で震度1以上を観測した地震は27日正午現在、計8回で、最大震度4が2回あった。陸奥湾周辺では1739年と1766年にマグニチュード(M)7程度の地震が発生したことがある。 陸奥湾内には現時点で断層が確認されていない。県が把握する主な活断層は六つあるが、今月の地震の関連は不明で、震源に比較的近い野辺地断層との関係も分かっていない。このうち青森市付近の内陸直下型地震=入内断層モデル(M6.7)の被害想定を参考にすると、海岸から300メートル~600メートルの範囲で最大3.2メートルの津波が、2~8分で到達する可能性がある。 今回の地震は、直下型とも呼ばれる内陸型。日本列島周辺では複数の岩盤(プレート)がぶつかり合っており、大きなひずみが蓄えられている。海のプレートが陸のプレートに沈み込む深いところで発生する海溝型に対し、内陸型は震源が浅いことが多い。海溝型の巨大地震に比べて規模は小さいものの局地的に激震を起こす場合もある。 1月の能登半島地震は内陸型の最大級と言われる。日野教授は発生の3年ほど前から周辺で群発地震が続いていた能登半島地震と比較し「(陸奥湾は)今は危険が差し迫った状況ではない」と分析。その上で「数カ月を超えて地震活動が広がっていくようであれば、大きな地震につながる可能性もある」と指摘した。