記録的冷夏で岩手の種もみ不足 増殖頼まれた石垣のコメ農家「先輩みんな反対」 30年前の葛藤と挑戦「気持ちが痛いほど分かった」
【石垣】「先輩の農家みんなが反対したよ」 石垣市のコメ農家だった大浜博彦さん(89)が振り返るのは、1994年の種もみ増殖事業のことだ。前年の記録的冷夏で種もみが不足した岩手県から、石垣島での緊急増殖プロジェクトを依頼された。 【写真】種もみ増殖に協力した30年前を思い出し、涙を拭う大浜博彦さん 周囲のコメ農家の多くは難色を示した。「内地の稲は低く、機械で刈り取ることすらできない」「植え方だって違う」と、ベテラン農家ほど反発が大きかった。 大浜さんは同じコメ農家として、岩手側の気持ちが痛いほど分かった。葛藤の末に「お願いされたのだから、できるだけのことはやってみよう」と、引き受けることを決めた。 種もみの緊急増殖事業から始まった沖縄と岩手の交流が30年を迎えた。節目を記念して岩手県の関係者らが10月30日~11月3日に沖縄を訪れ、石垣市などでコメの販売イベントを開く。交流に関わった両県の生産者に思いを聞いた。