「歴史に名を刻むのは間違いない」二刀流で話題の“次世代オールシーズンタイヤ”、ダンロップ「シンクロウェザー」で真冬の雪道と初夏の路面を走った結果
ゴムに仕込まれた“2つのスイッチ”が環境に応じて切り替わる
でも、どうしてこんなことができるのでしょうか。不思議ですよね? そもそも「アクティブトレッド」とは、水や温度などの外的要因に反応してゴムの特性が変化する新技術で、ゴムを柔らかくするには欠かせないポリマーの動きをコントロールする役割を果たします。「シンクロウェザー」ではこのゴムの中に「水スイッチ」と「温度スイッチ」の2つのスイッチ機能を備えており、これを環境に応じて切り替えることでゴムの特性を変化させているのです。 具体的には、路面に接地するトレッドの一部に、水に触れると結合が溶けるイオン結合のポリマーを採用(水スイッチ)。これによりウエット路面に入ると表面が柔らかくなってグリップ力が高まります。そして、水が乾けば再び元の硬さに戻ってドライ路面でのグリップ力を回復するのです。 そして、次に冬場の低温時にはゴムのグリップ力を高める成分をポリマーから切り離すことで(温度スイッチ)ゴムが硬くなるのを抑えます。これによってゴムは柔らかいまま維持され、雪上や氷上でもしっかりとしたグリップを実現することができるというわけです。 タイヤの表面には、その性能を裏付けるものとして、冬用タイヤ規制が発令された高速道路も走れる「スノーフレークマーク」はもちろんのこと、国連が定めた氷上性能をクリアした「アイスグリップシンボル」までも刻印されています。まさに、これまでのオールシーズンタイヤではあり得なかったことを「シンクロウェザー」は可能にしたのです。
氷上でも安心して走れる高いグリップ力を実感
では、その実力は本物なのでしょうか? 2月に北海道で雪上&氷上路面を、5月に岡山でドライ&ウエット路面で試乗する機会を得ました。 雪上&氷上路面での試乗は、旭川市内にあるダンロップのテストコースと周辺の一般道を使って行なわれました。試乗の対象となったのは「シンクロウェザー」に加えて、ダンロップのオールシーズンタイヤ「マックス・エーエスワン(MAXX AS1)」と、「ウインターマックス・ゼロツー(WINTER MAXX 02)」です。 最初に「MAXX AS1」で走ると、最初の氷上でさっそくグリップ力の弱さを露呈。アクセルを踏んでも思うように加速してくれません。氷上を旋回するとそのまま外側へと膨らんでしまい、そのコントロールにずいぶんと苦労することになりました。まさにオールシーズンタイヤゆえの氷上でのグリップ力の低さを体感したわけです。 次の「シンクロウェザー」では、氷上でもステアリングを切っただけの反応が伝わってきました。もちろん、パワーをかければ外側へ膨らみますが、「MAXX AS1」とは安心感がまるで違います。ただ、その後に「WINTER MAXX02」を走らせると、さすがはスタッドレスタイヤ、よりしっかりとしたグリップを感じさせてくれました。とはいえ、「シンクロウェザー」との差は小さく、改めてその実力の高さに驚かされた次第です。 続いて「シンクロウェザー」で雪深い一般路に出てみました。雪深い路面をものともせず、グイグイと雪道を突破していきます。カーブに差しかかったところで少し強めにステアリングを切るとわずかに横に流れる動きを見せましたが、それでもすぐにグリップして安心感は十分。雪道での頼りがいをしっかり感じ取ることができました。