ヘッジファンドのシステマティカ、新タイプのデータ分析の専門家採用
(ブルームバーグ): クオンツヘッジファンドを運用するレダ・ブラガ氏は、2008年に人工知能(AI)分野の博士号取得者を初めて採用し、コンピューター主導の取引戦略を構築した。最近では、新しいタイプのコンピューター科学者を採用した。
150億ドル(約2兆1000億円)規模のシステマティカ・インベストメンツを率いるブラガ氏は過去2年に、トレーダーが利益を見いだすヒントを得るために同社が収集した膨大な量のデータを分析する「フィーチャーエンジニア」チームを結成した。システマティカは女性が主導するヘッジファンドとして最大級。
同社は投資のための新しい情報源を導入しフォーマットする6人の研究者を集めた。6人は週ごとに、最高経営責任者(CEO)や政策当局者のスピーチから感情を抽出するAIなど、型にはまらないデータセットを統合している。最近は話し方のトーンを評価するプログラムへの投資を検討した。
システマティカの創業者でCEOのブラガ氏はシドニーでのインタビューで「10年前のデータセットは時系列だったが、今はそうではない。画像のコレクション、モノのデータベースなど今や何でもがデータセットだ。そのX軸は何なのか、私には分からない」と語った。
機械学習の飛躍的な進歩が新たな課題と機会をもたらしている業界で、オルタナティブデータを利用して取引を行う投資会社はシステマティカだけではない。
AIは生産性を向上させるだけでなく、新たなデータの爆発的な増加をもたらし、さらに多くの人材を必要にした。顧客が運用報酬にますます抵抗を示す一方で専門スタッフやシステムのコストが膨らみ、ヘッジファンド業界は圧迫されている。
システマティカが運用するクオンツ戦略のパフォーマンスは、今年に入ってからまちまちだ。トレンド追随型プログラム3本のうち、1本は4%の利益を上げているが、他の2本は3-4%程度の下落になっているとブラガ氏は述べた。マルチ戦略プログラムは9月中旬時点で7%以上の利益を上げているという。