登山の安全は何に気をつけるべきか? 野口健氏ら長野でサミット
山の自然保護へ登山道の整備も重要
山の環境整備の問題では山口氏が「実は登山道の整備が環境を守る上でも大切。きちんと整備してあれば、わきにはみ出す登山者がいなくなり、山の自然が守られるのです。登山道の整備は私の仕事だと思っている」。 これについて阿部知事は「山小屋で自主的に整備してもらっているが、それでは限界がある。そこで整備について関係者のコンセンサスを得るための確認作業を進めている」「一部の関係者だけ頑張るのではなく、登山者に少しの資材を荷上げしてもらうといった協力を得ることも必要」と、登山者も含めた息の長い協力態勢の構築を目指しているとしました。 このほか、「急増しているシカの食害で森がピンチ。狩猟者を増やすなどの対策が急務で、今のままでは森がなくなる」(野口氏)といった指摘や、会場からは「日本登山医学会の認定山岳医が国内に30人いるが、活用されていないので対策を」といった意見も。安易にヘリの救助を頼む登山者もいるため、県警ヘリなどの出動も有料化すべきかどうかなども議論。登山や山の環境をめぐる課題が山積していることがあらためて浮き彫りになりました。 「山の日」に向け長野県はオンラインによる登山届「コンパス」を導入、登山の動機の目安になる山岳の難易度を示した「グレーディング」も設定するなど多角的な登山環境の整備を進めています。また、昨年制定した「長野県登山安全条例」により今年7月1日から遭難発生のおそれが高い160以上の「指定登山道」では登山計画書の提出が義務付けられました(罰則なし)。指定登山道のある長野県内の山岳地域は志賀・苗場、戸隠、上信国境、北アルプス、八ケ岳、奥秩父、御嶽山、中央アルプス、南アルプスの9山域です。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説