A東京の小酒部泰暉は「オフェンスに絡まないといけなかった」の後悔を胸に、入団以来磨いてきたディフェンスに攻撃の積極性も加える
CSの敗戦を糧に「勝つために自分の役割を果たす」
そして今シーズン、小酒部はさらなる飛躍のフェーズに入りそうだ。フィールドゴール平均試投数が2.0から3.1、3ポイントシュート平均試投数が2.3から3.0と、いずれも昨シーズンより向上していることが示唆するように、得点面での積極性が増している。小酒部は言う。 「入団当時はディフェンスができないと試合に出られないと考えて、まずはディフェンスから磨いていこうと決めていましたし、去年もディフェンスにフォーカスしてプレーしていました。ただ去年のチャンピオンシップ(CS)で、いろんな選手がいろんなところから点を取れたほうが相手が守りにくいし、自分ももっと積極的にオフェンスに絡まないといけなかったと学んだので、今年は空いていれば積極的に打つという気持ちを持っています。『得点をたくさん取りたい』というよりは『チームが勝つために自分が自分の役割を果たす』っていう意識です」 今シーズンのA東京は、新加入選手は大倉颯太のみという継続路線を選択した。CSクォーターファイナルで琉球ゴールデンキングスに悔しい敗北を喫した昨シーズンからの積み上げは、加入歴の浅い選手や若い選手たちの成長にかかっているとも言える。生え抜きプレーヤーとして主軸を担う小酒部も、例年以上の責任感を持っていると話す。 「これからも、去年以上にオフェンスに絡んでいかないといけないですし、ディフェンスの部分もマッチアップするキープレーヤーをしっかりとシャットアウトしなければいけないという意識もあります。さらに、コートに出ている5人が意思疎通を取れるよう、自分がもっと発信していけるようになればチームはより良い方向に進むと思います」 10月30日、『FIBAアジアカップ2025予選 Window2』の直前合宿招集メンバー23名が発表され、小酒部もこれに選出された。これまでにも何度か代表候補に名を連ねつつもコンディション不良などで辛酸を舐めてきた大器は、プロ入り以来目標としていた代表の座を今度こそつかめるか。まずは第6節のシーホース三河戦、攻守ともにアグレッシブな姿勢でチームの白星に貢献したい。
青木美帆