最も参考にしたい 保険をつくっている人が「入りたくない保険」とは?
今回は保険会社の人が「入りたくない保険」をご紹介します。保険会社で働く人でも人事部門が長く「私は、保険は苦手!」と断言する人もいますし、年金運用の専門家で「個人向けの保険のことはよくわからない」と言う人もいます。一方、営業担当者や代理店には、豊富な商品知識を持っている人もいます。営業現場で、情報を更新し続けている点も評価に値するでしょう。 私も10年前に刊行された最初の自著では「営業担当者が加入している保険」を尋ねると良い、と書きました。ところが、その後、原稿を書く仕事が主になり、保険以外の金融商品に関する知見が増えるにつれ、営業担当者や代理店の保険活用法はあまり参考にならない、と考えるようになりました。
甘いセールストークが出てきてしまう本当の理由とは?
なぜならば、保険の営業担当者は保険の知識以前に「お金に関する正しい知識」を学んでいない人が多いからです。たとえば、営業部門では保険商品の貯蓄性を評価する際、頻繁に「満期や解約時に払い戻しされる金額÷それまでに払った保険料の総額」で算出した数字を用います。 私自身、「20年後には払い戻し率が100%になり、30年後では115%なので、長期的には預金より有利です」などと、お客様に説明していました。しかし、こうした説明は、商品設計などに関わる専門家によると「とても信じられない。本気で言っているとしたら驚いてしまう」そうです。 「将来のお金の価値は、額面より“必ず低く”評価する」のが金融の常識だからです。短期解約で損をする確率・貨幣価値の変動・保険会社が破たんする可能性等、諸々の「不確実性」を考慮すると、遠い将来のお金の価値ほど、評価は下がるからです。 そもそも20年もの間、契約が続く可能性は甘く見ても50%前後、と言う専門家もいるのです。したがって、20年後の100%は、断じて額面通りに受けとめられるものではなく「100%を大幅に下回る」と評価しなければならないのです。