「新型コロナの死亡数急増」→重症化しやすい人の意外な共通点とは?
「新型コロナの死亡数急増」→重症化しやすい人の意外な共通点とは? 人生100年時代は、健康こそ最大の資産です。しかし40歳を越えると、がん、糖尿病、腎臓病といった病気を避けては通れません。国立がん研究センターによれば、40~49歳のがん患者数は、30~39歳と比べると3倍以上です(2020年)。もちろん50代、60代と年齢を重ねるにつれ、がん患者数はどんどん増えていきます。 本連載は、毎日の食事から、大病を患ったあとのリハビリまで、病気の「予防」「早期発見」「再発予防」を学ぶものです。著者は、産業医×内科医の森勇磨氏。初の単著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を出版し、感染症医・神戸大学教授の岩田健太郎氏が「安心して読める健康の教科書」と推薦文を寄せています。出版を記念し、内容の一部を特別に公開します。 ● 死亡者数は、インフルエンザの15倍! 新型コロナの死亡数について、非常に恐ろしい報告がされました。 昨年の5月から感染症法上の位置付けが5類となった新型コロナウイルスですが、その後2023年5月~24年4月の1年間で、死者数が計3万2576人に上ったことが厚生労働省の人口動態統計で判明しました。同時期に流行したインフルエンザと比較すると、インフルの死者数は2244人。 およそ死亡数だけ比較すると、コロナでの死亡者はインフルの15倍となっております。 5類になってから我々の日常生活での制約は解除され、まるでコロナの大流行は収束したかのように考えられていますが、水面下では感染は収まっておらず、蓋を空けてみれば死亡数だけとって見るとこのような結果になってしまっています。 ただ、冷静に考えれば新型コロナというウイルスの「本質」が大きく変わった訳ではなく、「扱い」が変わった側面の方が大きい訳です。 我々は以前のようにテレビで日ごとに感染者数を追う習慣がなくなったこと、5類感染症へと「扱い」が変わったことで新型コロナの脅威から目を背けているだけなのかもしれません。 とはいえ、「以前の緊急事態宣言の時のような閉塞的な生活はもうできない」と思われている方が多いのも事実でしょう。 そこで今回は、新型コロナを改めて「正しく適切に恐れる」ために、新型コロナの対策について改めて復習しておきましょう。 まず、特に新型コロナについて対策しておく必要がある重症化リスクの高い方について、改めて整理をしておきましょう。重症化リスクが高いのは、以下の基礎疾患を持っている方です(※1)。 1. 慢性の呼吸器の病気 2. 慢性の心臓病(高血圧を含む。) 3. 慢性の腎臓病 4. 慢性の肝臓病(肝硬変等) 5. インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病 6. 血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く。) 7. 免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む。) 8. ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている 9. 免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患 10.神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等) 11.染色体異常 12.重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態) 13.睡眠時無呼吸症候群 14.重い精神疾患(精神疾患の治療のため入院している、精神障害者保健福祉手帳を所持している、又は自立支援医療 (精神通院医療)で「重度かつ継続」に該当する場合)や知的障害(療育手帳を所持している場合) こうして一見すると、肺や呼吸に関わる病気だけではなく、高血圧や糖尿病といった生活習慣病も重症化リスクの一つです。 いったいなぜなのでしょうか?