【欧州市況】フランス債下落、ドイツ債とのスプレッドは12年ぶり水準
(ブルームバーグ): 26日の欧州債市場では、フランス債が下落。同国債の主要なリスク指標はユーロ圏債務危機以来の水準を付けた。フランスでは予算案を巡って政治的に対立し、内閣が倒れる危険性も浮上している。
フランスとドイツの10年債利回り差(スプレッド)は引けにかけて拡大し、86ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と2012年以来の大きさとなった。バルニエ首相率いる現内閣が崩壊する恐れから、仏独債のスプレッドは100bpまで急速に広がる可能性もあると、シティグループのストラテジストは予想した。
市場の動きは、バルニエ内閣が来年度予算を成立させ、支出を削減して債務を減らせるのかを巡る投資家の懸念を反映している。極右の国民連合(RN)は、要求が満たされなければ不信任動議を提出して倒閣に動く意向を表明。バルニエ首相は現地時間午後8時にテレビで発言する予定だ。
アリアンツ・グローバル・インベスターズのマルチアセット最高投資責任者(CIO)、グレーゴル・ヒルト氏は「政府が再び危うい状況に陥る可能性は十分にある」と指摘。仏独債のスプレッドが「イタリアとドイツのスプレッドと同様の水準まで広がる可能性もある」と述べた。
そのような状況はユーロが始まって以来、前例がない。政府債務残高が大きく格付けも比較的低いイタリアの国債は、歴史的に利回りが域内で最も高い部類に入る。
独伊債のスプレッドは現在約125bp。仏独債のスプレッドがこの水準となるなら、長期的には買いの好機になるだろうと、ヒルト氏は語った。
株式は指標のストックス欧州600指数が下落。トランプ次期米大統領がメキシコからの輸入品に関税を課す方針を示し、同国に投資する欧州企業が売られた。
同指数は0.6%安で取引を終えた。トランプ氏の関税方針を受け、自動車メーカーのステランティスとフォルクスワーゲンが大幅安。トランプ氏は欧州を名指しすることはなかったが、両社はメキシコ工場で車両を生産し、米国で販売している。