福岡・八女市長選、簑原悠太朗氏が初当選 九州最年少の市長に
任期満了に伴う福岡県八女市長選は10日投開票され、無所属新人で元経済産業省課長補佐、簑原悠太朗氏(34)が、同じく無所属新人の元副市長、松尾一秋氏(64)=自民推薦=を破って初当選した。簑原氏は九州で最年少の市長となる。 今回の選挙は、4期目の三田村統之(つねゆき)市長(80)の今期限りでの引退表明を受け、後継指名を受けた松尾氏による市政の継続か、簑原氏による刷新かが問われた。 簑原氏は福岡県大野城市出身だが、幼少期に旧星野村(現八女市)で4年間過ごし「古里に恩返しをしたい」と経産省を6月に退職して立候補。豊かな自然や文化などの魅力がありながら、人口減少や耕作放棄地の増加、合併による地域間格差など深刻な課題を抱える現状に危機感を覚え「今回が八女が変わる最後のチャンス。将来に希望を持てる市に」と訴えた。 公約として、農林業を稼げる産業にするためのブランド化と輸出強化、森林資源を生かしたカーボンニュートラル(温室効果ガス実質排出量ゼロ)推進のほか、ライドシェア導入やデジタル技術を生かした教育の質向上、移動市長室開設などを掲げた。 選挙戦では、広い市域をくまなく回るほか、SNS(ネット交流サービス)や動画投稿サイト「ユーチューブ」などを駆使して浸透を図り、現状打開と候補自身の若さに期待する市民らから幅広く支持を集めた。 松尾氏は、旧立花町(現八女市)職員時代からの44年間の行政経験と、そこで培った国や県とのパイプ、災害に備えたインフラ整備などを訴え、自民や地区農政連などによる組織戦を展開したが及ばなかった。 九州の最年少市長はこれまで、41歳の永山由高・鹿児島県日置市長だった。【谷由美子】