朝鮮拉致被害者家族会・飯塚事務局長が福島で講演 「残された時間少ない」
北朝鮮による拉致被害者田口八重子さん=失踪当時(22)=の長男で、被害者家族会事務局長の飯塚耕一郎さん(47)が24日、福島市のキョウワグループ・テルサホール(福島テルサ)で講演し、日本にいる被害者家族だけでなく、北朝鮮に拉致されたままの被害者自身も高齢化していると指摘し「拉致問題は命の問題だ。残された時間は少ない」と焦りをにじませた。政府は核・ミサイル問題と拉致問題を切り離し、「命の問題を最優先」に解決を急ぐべきだと訴えた。 救う会ふくしまの主催、県拉致議連の後援。「拉致問題の現在とこれからの闘い」と題して講演した飯塚さんは、2021(令和3)年12月に83歳で亡くなった伯父で育ての親の繁雄さん(前家族会代表)を思い返し、「生きて(妹の田口八重子さんに)会うことができなかった。こんな不幸を繰り返してはならない」と語気を強めた。 日朝首脳会談が開かれた2002(平成14)年、拉致被害者5人が帰国を果たして以降、大きな進展はない。石破茂首相が拉致問題解決に向けて主張する、東京と平壌に相互の連絡事務所を開設する構想について、飯塚さんは「時間の無駄だ」と否定的。「拉致問題を動かせるのは両国首脳のみだ」として、金正恩朝鮮労働党総書記との日朝首脳会談を早期に実現させるよう求めた。一方で、政権が安定していなければ北朝鮮は交渉に応じはしない、との見方も示した。
2002年に帰国した曽我ひとみさん(65)ら拉致被害者自らが、北朝鮮に残された被害者を救うために活動している現状は「構図がおかしい」と非難。被害者救出を求める機運が時間の経過とともに薄れる中、「北では救いを待っている。世論の熱量を継続しなければならない」と述べた。 23日に都内で開いた拉致被害者の帰国を求める「国民大集会」では、高齢な親世代が存命のうちに拉致被害者の即時一括帰国が実現するなら、日本政府による人道支援や独自制裁解除に反対しないとする決議を採択している。